2017年04月12日

セシウムとバリウム

会社の健康診断があった。待ち時間は吉野弘の『詩のすすめ』を読んだ。最後の診断項目は胃部レントゲン検査だった。常識を疑う詩人の思考に触れたせいかバリウムを飲むのが苦痛だった。

「自分のペースで飲んでいいですよ」と検査員に言われた。途中何度も休憩しながら、白いクリームを飲む。

検査員の視線が気になる。無言のプレッシャーを感じる。けれど気持ち悪い。急いで飲むとげっぷが出そうになる。吐き気をおさえつつ甘い白濁液を飲み干す。

「機械が動き出しますよ。手すりにつかまってください」

自分の体を乗せた機械のアームが動き出す。台座が回転する。写真撮影が始まる。被験体になった気持ちになる。続きを読む
posted by 野尻有希 at 22:11 | TrackBack(0) | エッセー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする