2009年09月17日

雑誌評:『クーリエジャポン10月号』特集:いま、なぜ「アフリカ」なのか



国際ニュースセレクト雑誌『クーリエジャポン』10月号の特集は『いま、なぜ「アフリカ」なのか』。文章の中で「世界」と書いてある時、「世界」と表現しつつも、実質は欧米の先進国など、ごく一部の国家を無意識に想定している場合が多々ある。「世界」には飢餓、紛争がたくさんある。「世界」という言葉からアフリカ大陸の国々、人々の生活がこぼれ落ちている限り、現代世界について語ることはできないだろう。

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COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2009年 10月号 [雑誌]
講談社 2009-09-10
おすすめ平均 star
star小特集「雑誌が消える日」が◎
star「勝負は品質次第」

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by G-Tools , 2009/09/17



今月号の記事で他に注目すべきは、特集「活字メディアの未来 第3弾 雑誌が『消える』日」。新聞、出版と続いた特集の第3弾では、雑誌の世界的売上縮小について、考察されている。インターネットでの情報摂取になれた身としては、雑誌を読むのは、時間がかかって疲れる。ネットの情報摂取スピードは、「R25」など無料の薄い雑誌と同じ感覚だと思える。ネットやフリー雑誌の情報感覚に慣れてくると、値段がついており、不要なページがたくさんある雑誌の情報感覚は、無駄が多すぎて、前世紀の遺物のように思えるのは、私だけだろうか。

特集第2段、出版の回で、トニ・モリスンなどノーベル文学賞作家の担当を経験している編集者は、今までの出版業界の売上、あり方が異常だったのだと言っていた。打ち合わせは高級レストラン、住まいは高級マンションの編集者たち。雑誌の回でも、出版業界の無駄遣いっぷりが描かれた。たくさん金をかけて、最良の商品を記事に並べ、読者の消費欲求を刺激することで、雑誌の売上を確保する。このような雑誌業界のあり方は、もう一つの特集である「アフリカ」の現実と対比した場合、没落して当然と思えるのだった。

世界的に雑誌が売れなくなる中、『エコノミスト』だけは売上を伸ばしているのだという。グローバルに活躍する有能なビジネスパーソンに読まれる『エコノミスト』。先週末のNHKの番組出演時、中谷巌は、グローバル市場の拡大により世界各国の賃金が、世界平均に収斂していると言っていた。世界平均に比べて、日本人の給料は今まで高かった。1日1ドルで暮らす貧困層が世界には10億人規模でいるのだから、グローバル化する世界の先進国労働者は、必然的に貧しくなる。

中谷巌は、しかし一部の人たちが、どんどん高給になっていく現実を問題視していた。グローバル市場で価値が認められる一部の有能者が一人勝ちし、残りの大勢は相対的に貧しくなっていく。格差が収斂するようで、一部で残る世界規模の市場環境変化は、雑誌業界が直面している現実であるし、非自民連立政権誕生後の私たちの周囲でも、日々進展している現実である。


(当雑誌評は、レビューブロガーネットワークサイト・レビュープラスが主催しております『クーリエ・ジャポン レビューコンテスト第1回』投稿作品です)
タグ:雑誌評
posted by 野尻有希 at 23:45 | TrackBack(0) | 雑誌論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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