2011年01月02日

テレビ批評:NHKスペシャル「2011 ニッポンの生きる道」

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デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)
藻谷 浩介
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-06-10

競争と公平感―市場経済の本当のメリット (中公新書) 実測!ニッポンの地域力 デフレ不況の正体 「人口減少経済」の新しい公式(日経ビジネス人文庫) 超マクロ展望 世界経済の真実 (集英社新書)

by G-Tools , 2011/01/02



年末年始特番のレビュー続きますw。1月1日夜にNHKスペシャル「2011 ニッポンの生きる道」が放送された。なんとも仰々しいタイトルだが、ノーベル賞受賞の根岸英一博士。コマツ会長坂根正弘。一橋大学教授米倉誠一郎、日本政策投資銀行参事役藻谷浩介、愛知淑徳大学教授真田幸光がゲスト出演し、日本の未来発展プランを語った。以下印象的だった箇所の要点まとめ。

・日本は今まで、安いものをより多く売る工夫をしてきたが、これからは、日本でしか作れないよりよい高額商品を世界に売っていく戦略が有効である。安いものをより多くでは、他の大量生産の国と競合する。ジャンルの中で、富裕層が買う最上の商品をおさえておけば、そこからおろしていくことができる。「下から上へ」はブランディングが難しいが、上から下へなら動ける。例えば、日本国内でバイクの売上は下がっているが、トップブランドのハーレーダビッドソンは、売上を維持している。(藻谷さん)

・スイスの時計はよいとされる。フランスのワインはよいとされる。イタリアの革製品はよいとされる。これらの国の商品は世界中で買われている。自国の文化を代表する商品を価値づけて、世界にアピールし、売っていく姿勢が必要。(藻谷さん。日本を代表する商品といえば、今までは自動車なり家電なりファミコンだったんだけど、諸外国に追いつかれ、追い越されたという話です。やっぱりマンガや萌えアニメを本格的にブランディングして売ったろかw。キラボシ!)

・日本はボトムアップの、すりあわせのものづくりが得意だった。グローバル競争の変化スピードに対応する為には、トップダウンの意思決定も必要。トップダウンとボトムアップが組み合わさることで、競争に勝つことができる。(コマツ会長)

・IBMはパソコンというモノを売るのをやめて、ソリューション(解決策)をパートナー企業に売るサービス事業会社にチェンジした。IBMは「Smarter Planet(スマーター・プラネット)」を推奨している。地球という惑星をよりスマートに、より効率的にするという企業使命を持って活動している。今までの企業は物を作って、物の積み重ねで理想を実現してきたが、これからの企業はまず理想を掲げて、理想を実現するために物なりサービスを作る姿勢が必要だ。(米倉さん)

・日本は水道、電気、ガス、電車などインフラ面で、ミスのない正確なシステムを持っている。世界でも特有の優れた総合技術である。中国など新興国で大規模な都市開発プロジェクトが進行している。日本はモノ単体でなく、複数のモノ、技術を統合したシステムを売る方がよい。世界は日本の安定的なシステムを必要としている。(米倉さん)

・女性が社会進出すると出生率が下がると言われているが、女性正社員比率の高い石川県は出生率も高い。専業主婦の多い東京は、出生率が低い。実態は逆。先入観でものを語るのでなく、実例から学ぶ姿勢が必要。(藻谷さん)

・日本の学校で、世界中の優秀な留学生を集めて研究している事例の紹介。優秀な人を世界中から集めて、議論して、競争することで、日本人の集団だけでは生まれない発想が生まれる。

・日本ではみんな一緒がよいとされてきたが、コンペディション(競争)は大事。競争したらよりよいものができる。こうなりたいというモデルの先人を見つけて、その人のような成果を出したいと思って研究に没頭した。(根岸博士)

・日本は中途半端に国内市場があるから、みんな世界に出て行かない。故にグローバル化の潮流から取り残されて、ガラパゴス化の悪循環。日本独自の技術の価値に気づき、世界に打って出る姿勢が必要。


(所感)
見ていて勇気づけられた番組。少なくとも不毛だった朝生と、くだらなかったガキの使いよりはためになったw。藻谷さんの話が面白かったので、『デフレの正体』を購入。この番組の出演者たちは、とりあえずうつ病になったり、自殺したりすることはないだろうと思えたw。実際彼らみたいにポジティブに、どんなトラブルが出てきてもそれをチャンスと見て乗り越える「エターナル・オプティミズム」(根岸博士談)があったら、誰でも週刊少年ジャンプのヒーローみたく戦えるだろう。けれど、実際はコンペディションによって半永続的に敗北している人も多い。競争と、競争の敗北者を支える救済の原理の共存が必要。

資本、ネーション、ステートという3すくみ構造が、競争と救済を保障していると柄谷行人は近著「世界史の構造」冒頭で指摘している。資本、ネーション、ステートの3すくみ構造を打ち破るのは難しいとのこと。資本主義を打ち破って新しい交換様式の社会を本気で作るのか(柄谷行人派?)、うまい具合に競争と救済のバランスを調整して、現状の社会を温存=平和的設計改善していくのか(東浩紀派?)という話になる。(僕はどちらかというとあずまんよりな傾向になりつつある。)

ここから先は「世界史の構造」と「思想地図β」を読みこんで、また明日以降考えていこう。失笑の対象でしかない現代思想の議論になるし。
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