2012年02月05日

おすすめ映画の紹介『きみに読む物語』(2004)

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by G-Tools , 2012/02/05



ミスチルの桜井和寿さんが、NHK教育『佐野元春のザ・ソングライターズ』出演時、好きな映画としてあげていたのが、『きみに読む物語』。ずっと見たいと思っていたけれど、忙しくてなかなか見れなかった。一生懸命生き過ぎないようにしようと思ったら、時間と心の余裕ができたので、ようやく映画を見ることができた。

国語の試験でよく「作者が言いたかったことはなんですか?」という問題が出てくる。センター試験などマークシート方式の問題だと、答えは一つになる。作者が言いたかったことが一つなんてあり得ないという批判は、昔からある。小説は一つのメッセージを伝えるための道具ではないとか、読者一人一人作品から感じることは異なるとか。

作品は解釈される可能性に満ちている。大勢の読者が受取った意味が一つあるなら、それは「作者が言いたかったこと」かもしれないけれど、やはりその意味は多数決の結果でしかない。作者が言いたかったことと無関係に、作品から意味を引き出すことができるし、時代や人間のものの感じ方の変化によって、作品の受け止め方も変わってくる。

という前提をおいたとして、『君を読む物語』から僕が感じたことは、本当に人を愛することはすばらしいということ。こう書くとありきたりで、当たり前のメッセージだ。映画として丁寧に叙述されると、真剣に人を愛することの大切さが、身に迫って来る。

2004年の映画だから、以降ネタバレ交えて書きます。

認知症を患い、過去を思い出せずにいる老女に、彼女と同じ療養施設にいる老人が、恋愛小説の物語を読んで聞かせる。

物語の場所は、第二次世界大戦前のアメリカ南部の田舎町。肉体労働者の青年ノアが、お金持ちの少女アリーに恋をする。冒頭はそんなに面白くなかったけれど、『ロミオとジュリエット』的な展開は、開始30分で終わる。家族の経済力、文化の差がある二人は、別れることになる。『ロミオとジュリエット』なら、ここで恋人が死んで終わり。『きみと読む物語』は、恋仲を引き裂かれた後の苦しみ、その後の再開と葛藤が描かれる。

アリーと別れた後、ノアは戦争未亡人の女性と恋愛感情のない肉体関係を結ぶ。アリーは、青年実業家と婚約する。結婚間近になったアリーがノアの家に訪問。数年ぶりに再開した二人がお互いの気持ちを確かめ合った後、戦争未亡人の女性がノアの家にやってくる。修羅場がやってくるかと思いきや、アリーは一緒に食事をしましょうと未亡人を誘う。

三人の食事の場面は描かれない。食事後、未亡人は「私忘れてたわ。夫を亡くして以来初めて、また本気で人を愛せそう」と言って、涙を浮かべながら去ってゆく。ノアとアリーの二人が心から愛し合っている様子が、未亡人の心に、夫と愛し合っていた頃の記憶を思い出させたのだろう。映画を見ている僕自身も、ノアとアリーの二人の関係から、未亡人と同じ印象をもらった。

アリーの母親は、収入の少ないノアと娘の結婚に始終反対する。アリーの立場からすると、母親は自分の幸せに反対する障害でしかないし、父と母の関係は、金目当てでつながっている愛のない関係に見える。

映画後半、母親はアリーを屋外の作業現場に連れて行く。作業現場で働いている太った中年男性を見つめながら、若い頃、今は面影もないその男性と激しい恋をしたことを、母親がアリーに打ち明ける。駆け落ちして逃げ出そうとしたら、警察に見つかって恋は破局した。時々この場所にやってきて、彼を見つめては、今の夫と結婚して幸せだと思いなおすの、と母親が言う。泣き出した母親をアリーが抱きしめ、お母さんは幸せだと慰める。母親の心の奥底に隠されていた複雑な想いが知れたので、このシーンが映画の中では一番心に残った。
タグ:映画
posted by 野尻有希 at 16:10 | TrackBack(0) | 映画論(国内) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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