2015年02月14日

NHK教育「SWITCHインタビュー達人達 椎名林檎×西加奈子」より印象的な言葉のまとめ〜椎名林檎編

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by G-Tools , 2015/02/14



NHK教育「SWITCHインタビュー達人達 椎名林檎×西加奈子」より印象的な言葉のまとめ、椎名林檎編。

西:1曲1曲誰かに向けて書いている?
椎名:はっきりしてる時もあるし、だれだれ君やだれだれちゃんが聞いてスカってしてくれればいいなとかもあります。
西:リミットがあるからできることもある?
椎名:なかったらしない。永遠に提出しない。
西:自分の中の完成形ってある?
椎名:そこに到達して発表できたことが一回もない。それがもしできたら辞めちゃいそう。辞めない理由の一つは、まだ完成したことがないから。

椎名:作曲は算数みたいな世界だから。楽譜の中に入れる時間、個数は全部決まっている。考えようによってはすごいつまらない。全部の可能性が出尽くしていると思ったら、そこで終わり。

西:林檎さんは職人さんみたいやなと思った。シャイだし、表に出たくて出てやるぜってタイプじゃないなと。作ってる時は一人。何万人に向けて一斉に発信する林檎さんの気持ちって、どこでどうつながってるんだろう?
椎名:自分はJ−POP職人だと思っている。本当に好きな音楽はこういうのじゃない。
西:え?
椎名:音楽って思わない、こういうわーって歌ってる歌が入っているものは。ポップだけど広告みたいなもの、短いし。
西:すごいびっくりした。
椎名:小さい頃から聞いてるものは、うるさいギターとか入っているものじゃなかった。ある時、こういった商売やりませんかって、CDとか資料いっぱい渡されて、「こういうった類のものを混ぜ合わせて作ってください」って大人の人に言われて、高校生の時に。それから始めた。
西:えー? 意外。もともと林檎さんが好きだったのはクラシックやジャズ?
椎名:そう。まず歌はいらない。音楽は。歌が入るともう風俗になる。料理で置き換えると、ごはんもの、どんぶりものになる。歌が入った時点で、みんな歌に耳がいく。今となっては面白いと思ってやるけど。そこまでかい離していないと、こんなに割り切ってたくさん書き続けることできないなと思った。大好きだったら難しそう。

西:うち、恥ずかしいけどめっちゃ自分の本好きやねん。自分の作品をほめてもらえると、自分をほめてもらった感じになる。林檎さんは違う?
椎名:自分の作品というより、仕事をほめてもらった気持ちになる。自分の人生と切り離されたもの。すごいたくさん聴いてくれた人が私の人生を想像できるだろうか? 想像できないと思う。
西:聴く人は、これが林檎さんだと思っている。純粋にこれが林檎さんだと思っているのと、こうであってほしいと、林檎さんに背負わせる人もいるやろうね。苦しいことある?
椎名:自分で自覚しづらい。加奈子さんってお名前って?
西:本名。
椎名:本名で書かれている作品を読まれたら全部見られちゃったって思う?
西:それはない。
椎名:そうですよね。私はしかも名前を変えている。林檎って筆名で、17の時に書いた名前そのまま使ってる。自分としては少女Aって意味の名前。何言われても平気。

椎名:今時SNSで評判簡単にわかっちゃう。そういうのごらんになります?
西:占いと一緒で、いいことしか見ない脳になってると思う。大変なことが起こりそう、でもこれやったら大丈夫。いい感想だけ見る。
椎名:「何でファーストみたいなの作れなくなっちゃったのかな」って言われると、なるほどねと思う。じゃあ次は、そう言った人も半角で「キター」って書けるような曲を書こうって思う。
西:じゃあ、ワーって出てきたじゃないんだ。「こうしよう、よし」でできるんだ。
椎名:本当にかっこいいのは「降りてきてしまった、ねえ見えるこの幻」みたいな。「見える人とだけいたいの」みたいな。そういうのもちろん憧れるし、ある程度演じておこうと20歳くらいまでは思っていた。「私のマグマに耳を澄ませて」みたいな。そういうのでやっていけたらいいと思ってたけど、私違うのに頑張り過ぎたなと思って。
西:奉仕の人だよね。求められたらきちんとしようとか。
椎名:仕事はそうですね、本当は全然違うけど、家ではいい加減。
西:「私が私が」感ゼロ。普通の女の子と比べても低くない? アーティスト、表に立っている人の中でもシャイというより、全人類の中でも結構シャイ。
椎名:そうだと思う。こんなこと一番やっちゃいけない人間がやっている気がする。

西:自分がもしミュージシャンやったら、絶対やるまいと思っても、ステージで両手をあげて、手叩くと思う。そういう瞬間ってある? 我忘れるみたいな。
椎名:絶対なれない。「よかったけど、終始計算し尽くされていて、足の先から手の先まで神経が注がれている自覚的なライブだった。次はもっと計算されていない林檎がみたい」みたいなお手紙よく頂くんですけど。
西:きちんと組み立てたやつをきちんと舞台でやって、早く帰りたい。
椎名:段取り通り終わったかどうか。
西:へー、面白い。
椎名:ビデオカメラで撮った奴を見て、次の日スタッフ集めて「ここの早いですよね、このタイミング、じゃあそれやってください」とか。
西:へー、それもう工場やん。
椎名:「この間言った点が直ってなかったですよね」とか。裏方向きなんですよね絶対。そっちの方で悦があるんじゃないですか。きっちり全部のタイミングがあっていると、「おし!」と。
西:うち絶対イキってやってまうと思う。「みんなー!」とか「アリーナ!」とか。興奮してしもて。
椎名:英語とか使うかな? イエー! とかカモン! とか。
西:絶対やると思う。コールアンドレスポンスやると思う。「ヘイ、ホー!」とか。じゃあライブはきちんとやる?
椎名:お客さんが冷静だからかも。私も緊張させるらしいし、向こうも緊張して身構えてきている。お互い頑張り合っているのかなあって。

西:言葉は発した瞬間から消えるもの。だからこそ発した瞬間が大切。それを私たち小説家は残そうとしてるから卑しいなって思って。こういうことができているのは何だろうと思ったら、音楽やん。ライブとか特にそう。林檎さんの声はその時しか聴けない。その切なさ、一瞬にかける感じは、何て美しいんだろうと思う。

西:英語で最初は曲を作る?
椎名:ポップス書く時に日本語前提で書こうとすると、かくかくしちゃう。メロディーが奔放に自由に展開できるように、はじめは仮詩を入れて歌って、借りてきた言葉が持つ爆発によって歌い回しが面白くなる。日本語って平坦でしょう?
西:林檎さんの曲で平坦な曲は聞いたことがない。
椎名:そうならないように頑張っている。話している時はリズミカルだけど、歌にするとかくかくしちゃう。それを研究している。1週間後だったらできるかもしれないけど、そんなに待ってたら納品できない。その戦い。

亀田誠治:椎名林檎さんのアーティスト活動は全て人由来。誰とやるか? この人がこの音を出すから、この人とやりたい。この人がこういう映像を作るからこの人とやりたい。林檎さんには明確に見えている。みなさん林檎さんのもとに集まってきて、いろんな新しいことを始める。

西:楽曲提供の方が楽しい?
椎名:もちろんもちろん。それをいつ本業にできるのかって頑張ってたけど。
西:かわいそうやけど、絶対裏方にはなれないよ。羽交い絞めで止められると思う。
椎名:でもさ、そろそろいいと思うの。少しずつ準備してて。
西:嫌や嫌や。見たいもんみんな。
椎名:でもさ、ロリコン文化じゃないですか日本って。もういい加減さ、三十六だし、四十くらいになったらもう。
西:林檎さんのいいところは、消費されへん人やと思う。美しさの話したけど、年齢とかじゃないんだって。その持ってるもの、本当無自覚。残酷やね、無自覚にお持ちのすごい力があると思う。だから絶対やめれないと思う。残酷だけど、ずっと出ていかなあかん人やと思う。でもそういうものなのかもねスターって。孤独とも言うしね。
椎名:いやあ、それ言ったら、だって加奈子先生はさ、全部栄養として吸収してないとあんなふうにかけない、科学的な裏付けがないと。すごく勉強できた方なんだろうなと思う。
西:勉強はIQがよくなくても、すごい真面目なの。夏休みの宿題全部最初の方にやっちゃうし。学校もきちんと行ってたし今もそう。高3の時に友達とサボって映画行ったけど、全然楽しめないよねサボってるから。作家でも締切守らない人が多いけど、うちは滅茶苦茶守る。真面目やと思う。林檎さんに夢はあるの? 仕事以外でも。
椎名:大人の遊び場を作ること。仕事をしていて、そろそろ帰ろうかなと思った時寄るような。ミュージシャンがいて、音楽やっていたら、女の子達がバーっと出てきて。ぴったぴたのボーダーみたいなの着て。
西:裏方として作りたいってこと?
椎名:もちろんもちろん。筋書のあるミュージカルみたいなものやる時があったら、手伝ってください。曲は作りますから。
西:やるよ。へー、面白い。でも夢があってよかった(笑)。

(所感)
椎名林檎天才説を信じて生きて来たけれど、実は秋吉康的な音楽ビジネスの大人の人達が林檎をプロデュースしていたとは。実はAKB48的だったとは。

しかしまあ西加奈子の受け答えが面白い。
posted by 野尻有希 at 22:02 | TrackBack(0) | 創作技術論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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