2015年02月22日

NHK教育「SWITHインタビュー達人達シンクロコーチ井村雅代×指揮者広上純一」より印象的な言葉のまとめ



NHK教育「SWITHインタビュー達人達シンクロコーチ井村雅代×指揮者広上純一」より、印象的な言葉をピックアップ。

広上:怒ると叱るは違う。怒るは自分のわがまま。感情が出る。
井村:叱ったら、必ず直す方法を言わなければならない。その子が直るまで行かさないといけない。駄目になるなら、最初から言わなければいい。

井村:人間は一人目が大変。一人やったらみんな真似する。できるんだと思う心になるまでが大変。できたらできて当然になる。本当の指導者の力は、見本のないトップを引っ張る力。

井村:オリンピックがあったら、チームのみんなのレベルは違う。コーチとしては、全体のレベルを上げて行こうとする。しかし、トップに立つ人は、変わってない。トップに立ったまま、逃げていく。下のレベルの人は追いかける。上のレベルの人は逃げるから全体のレベルが上がる。トップの人は上に君臨し続ける。
広上:いい意味で、ポジティブに負けず嫌い。
井村:もし真ん中に合わせたらどうなるか。トップの子に「あなたは力抜いて泳ぎなさい」とは言えない。賞味期限も消費期限も短いスポーツの世界で、8割でやってよとは言えない。100%でもだめ。100%を超える火事場の馬鹿力を出さないと。

井村:中国の選手は練習中に途中で辞めたり、できないと言うことはない。彼女達は国の代表になる前に故郷の期待の星。コーチがいろんなことを言わなくても、いろんなものを背負って出てきている。腹筋の練習中にやめたくても、隣の省の子がやってたら、絶対辞めない。日本は、誰か辞めるのを待っている。一緒に辞めようと思っている。中国の子は絶対辞めない。だから練習はエキサイト、いつも競い合っている。

井村:選手がどれだけ力を出すかは、どれだけその大会で泳ぎたいか。どれだけ本気で勝ちたいか、それだけ。

<今時の若者>
広上:人間として一生懸命やっている姿に感動する心を作りたいなと思って学校やっているんだけど、難しい。若い子は、どれくらいのことをやりたいか? どれくらいのエネルギーでやるかで決まってくる。

広上:先生の煩悩みたいなものはない? 成功したいとか、人間の闇の部分。
井村:あるでしょ。人より優れているのは排除能力。忘れちゃおって思って。人は気づいたら同じことで悩んでいる。一番怖いのは同じことをすること。他の誰かが進歩したら、置き去りにされる。抜かれるのが嫌。自分自身毎年何かにチャレンジして変わっていきたい。

井村:練習のいい演技やってきなさいって言っても負ける。下手だから。日の丸背負ってやってこいって言った。今日も練習してる他の子いるし、日本人の思いも全部背負ってやって来いって言った。練習の通りやりなさいでは負けると思った。あの子達の今まで以上の力を出してやろうと思った。
広上:先生は厳しいけれど優しい。愛情が自然と流れているから、今の難しい人たちも来る。
井村:最終的に私と出会ってよかったと思わしてやろうと思う。達成感を感じられる場所につれていってやらないと、私の理屈は成立しない。何故苦しくてもやらなければいかないか。がんばっていると言っても、あかんあかんって言ってやらせなければいけないか。メダルを取ったら全ての謎が解けるようにしたかった。

【広上純一編】
広上:オーケストラの楽員は、みんな宮本武蔵みたいなもの。
井村:でもその人達に見つめられて勝とうと思ったら、こっちが勉強してないと勝てない。彼らの目を痛いと思うか、よし来いと思うか。自分が充実していて、彼らを超える何かがないと、宮本武蔵の目は痛い。
広上:すごい話になってきたな。指揮者の立つ場所は死刑台と言われる。
井村:人間緊張しないとだめ。
広上:縮みあがる感覚を持てない人は、音楽家になれない。緊張しないんですよという人はやっぱりだめ。

井村:私シンクロでカラヤンの指揮をよく使う。ここちよい。
広上:カラヤンは、音楽を知らない人達に、快感だなと思わせる時空をつかむ感覚が突出している。彼にしかないもの。指揮者はコントロールしていると思われている。コントロールじゃない。見守っている。ドライブを全部しているわけではない。大事なところでオーケストラを助けてあげたり、精神的な勇気をあげたり、そういう仕事。選手を試合に送り出したら何もできないでしょ。指揮者も同じ。最初の出だしは、指揮者の息吹が必要。オーラを出す人間は一人。オーケストラによって、オーラを感じる時間が違う。例えばベートーヴェンの「運命」。出だしに休符がある。指揮者が同じ息吹でやっても「ババババーン」と出るオーケストラもあれば、「ん、ババババーン」と出るオーケストラもあれば、「……、バ、バ、バ、バー−ン」と出るオーケストラもある。その違いが面白い。
井村:試合も見えないものの勝負。オーラの勝負。空間をどれだけ牛耳ったか。よく選手に言うのは、矢印を出しなさいと。アニメのぴらぴらを手から出せと。オーラを出し、観客を含めて試合会場を自分のものにできるか。

広上:僕らの仕事は失敗しないとだめ。オーケストラは三歳四歳から楽器をやっている。その楽器を長年やって来た人じゃないとわからない生理がある。違った生理を持った人達が100人集まった動物園みたいなもの。ちょっとした呼吸の違いがあるだけで、彼らはうん? となる。剣豪の集まり。牛耳るとかじゃなくて、そこに溶け込むことができるかどうか。人にどう入り込んで溶けていくかを学んでいかないといけない。

広上:オーケストラに行くと、5分か10分で決まっちゃう。次呼ばれるか呼ばれないか。余計なことを言わず、とにかく音楽をふり続けようと。今まで20何年生きてきたものをぶつけようと。最初は二、三人、終わったら全員やっている。「ウェルカム!」と言われたらすごい嬉しかった。

井村:嫌いと言う人もいて当然なのに、嫌いと言われて落ち込む。若い子はみんなに愛されようとする。
広上:嫌われることを恐れるな。一つの大事なポイント。自分から嫌われる必要はないけれど、意志を曲げてまで、相手に媚びる必要もない。

広上:日本の教育は「ここからじゃないといけませんよ」と言いすぎた。門を決めちゃって、そこから楽ですよと決めちゃった。けれど山は道がないところでも、開拓すれば登れる。

広上(指揮の授業中):これは美しい曲。眠たくなる曲ではない。そう考えないと。君は考えてない。指揮はみんなの前で恥ずかしいけど、さらけださなきゃいけない。恥ずかしいからさらけ出したくないと言うなら、指揮者になる必要はない。

広上:自分の失敗を見てもらいたかった。僕のした遠回りをしない分、もっと次に行ける。遠回りをすることは悪いことじゃない。失敗しないと覚えないから。ただ教えてもらえれば、先に行ける。そうすれば、次の世代でさらに進化できる。

広上:学生に指揮をさせると、「今日は調子悪いから遠慮します」と言う子がいる。車もケーキも当たり前にある時代に育った。当たり前にしちゃった。至れり尽くせりにしてしまった僕の責任かなと。自分がこんなに苦労したから、そういう想いはしたくないと、オーケストラで指揮ができる環境を用意してしまった。
井村:これは特別だ、恵まれているよって恩着せなきゃだめ。当たり前だと思いなさんなと。
広上:今の子は昔に比べて、体型がすばらしい。楽器の技術、能力も高い。今の技術や能力に挫折しない強靭な心を伝えたい。そうすれば最強。

photo
サン=サーンス:チェロ協奏曲、交響曲第3番
藤森亮一 広上純一 NHK交響楽団
マイスター・ミュージック 2007-10-23

by G-Tools , 2015/02/22

posted by 野尻有希 at 18:54 | TrackBack(0) | 創作技術論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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