2015年03月07日

NHK教育「SWITCHインタビュー達人達 漫画家松井優征(「暗殺教室」作者)×デザイナー 佐藤ナオキ」より印象的な言葉

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暗殺教室 1 (ジャンプコミックス)
松井 優征
集英社 2012-11-02

暗殺教室 2 (ジャンプコミックス) 暗殺教室 3 (ジャンプコミックス) 暗殺教室 4 (ジャンプコミックス) 暗殺教室 5 (ジャンプコミックス) 暗殺教室 6 (ジャンプコミックス)

by G-Tools , 2015/03/07



NHK教育「SWITCHインタビュー達人達 漫画家松井優征(「暗殺教室」作者)×デザイナー 佐藤ナオキ」より、印象的な言葉をピックアップ。

松井:最初はひらめき。最初に生徒が一斉に起立して、先生に銃をかまえたシーンが最初に浮かんだ。それを連載漫画として成立させるためにはどうしたいいか。次の瞬間殺されちゃったら意味がない。ずっと避け続けるためには超スピードか超能力かどっちかしかない。超スピードで避け続けるそんな教室が隣にあったらすぐ広まって大問題になるから、その教室は離れの校舎にした。何故離れているのかといえば、落ちこぼれのクラスだからとした。一番最初の絵さえできれば、後はつながっていく。

佐藤:暗殺を通して、落ちこぼれのクラスがまとまっていく。
松井:よくある先生ものの王道セオリーにはのっとった。多少ベタでもいいからど真ん中を。
佐藤:いろんなことを工夫しながら頭を使うことによって、どんどん成長していく。
松井:暗殺はやってはいけないことだけれど、基本は弱い者が強い者をたおすための戦略。
佐藤:人を殺すためのプロセスを勉強のプロセスに当てはめている。
松井:やっていること自体は至極まっとうな教育漫画。それは言っておきたい。
佐藤:そこぶれてないですよね。
松井:少年漫画だと、ちゃんと勉強を教える先生はあまり出て来ない。勉強しなくていい、外で遊ぼうぜみたいな先生が多い。自分は何を先生に求めていたか。楽しく成績を上げてくれる先生が一番。自分が中学高校の時、こういう先生がいたらよかったなという理想の集まりで、ころせんせーはできている。

佐藤:暗殺教室は普通の漫画より登場人物が多い。キャラクターって何が大事?
松井:特殊能力とか決め台詞とか、インパクトのあるキャラを作れる人は多い。ただそれをどうやって運用して、どうやってエンディングまでたどりつけるのというと、答えられない人は多い。キャラは運用法までちゃんとわかっていないとキャラと言えない。分かっていない人が多い。
佐藤:デザインもそうかも。アイデア作りっぱなしの人と、その後この商品はどう進化していくかまで考える人では、同じアイデアでも成長の仕方が違う。
松井:世界観がしっかりしていれば、キャラは自然と動いていく。週刊少年ジャンプはキャラを大事にしている。キャラをまず最初に作ろうとする。自分の場合は、この世界観ならこいつがいるだろうと勝手にフォルムができあがっていく。普通の成人の先生を殺そうとしたら、すごい罪な感じになる。殺したいこいつと思うような、なめくさったフォルムの先生がいいし。
佐藤:なるほど。ギャップというか、生徒と先生の関係性が、暗殺者と暗殺対象に重なっている。日常と非日常のギャップがある。
松井:ギャップは表現しやすい。ページが使えるのはでかい。偶数ページは宝の山。ぺらっとめくった二ページ目で必ずびっくりさせることができる、やろうと思えば。
松井:デビュー後、読み切りを書く時、心に銘じていたのは、「誰もお前の漫画の先なんて見ていない」。基本的には見慣れた連載漫画の方が気になるし、読みたい。読み飛ばされる前提で書いた。読み飛ばされる中で、なんじゃこれはと思わせて、足を止めさせたら、そこから読んでくれる。それは常に考えている。
佐藤:広告的な考え方。

松井:すごい複雑な伏線を張った後、笑いを混ぜておくと、伏線がきれいに隠れる。笑いは与えるショックができない。どんな陰鬱なシーンでも一個笑いを混ぜておくと、そこでリセットできる。

松井:自分は始めることよりも終わらせることを一番に考えている。第1話から考えている。

松井:起承転結の承の回は、アンケートの票が落ちる。仕方ないと思っている。そこで無理に盛り上がりを作ると、最後の盛り上がりが弱くなる。前降りで落ちるのは覚悟したうえで落とす方が、最後にドーンと面白くなる。

松井:自分に大した才能はないというのが基本的前提。大した才能がない人間がこの世界で生き残るには何をしたらいいのか。だからこそ考える。弱者戦略。
佐藤:そうなると、自分というものはどこにある?
松井:やりたいことがあるかないかなと言うと、ない。お客さんの読みたいものを作るのが自分のやりたいこと。やりたいことががっつりある人は逆に怖い。やりたいことがなくなったら、何も書けなくなってしまう。息を長くこの業界でがんばるためには、やりたいことがない方がやりやすいし、長持ちする。何かを強烈に好きになるということがあまりない。昔もっとインプットしなきゃと思ってやったけど、ものにならない。展覧会とかいっても、周りの人との関係が気になる。前の人はこの絵の前に10秒いたから、自分も10秒いなきゃなあとか。
佐藤:空気を読んでいる。

佐藤:デザインは瞬発芸。見て一瞬で何かわかってもらう必要がある。
松井:面白さから目をそらさない。常に自分の漫画を薄目で見る。ぼやーっと。そうすると情報量が圧倒的に少なくなる。それでも面白ければまあ面白い。ひらめいた瞬間面白いぞと思っても、朝起きたらあれっていうのよくある。

松井:見たことを面白く書く才能じゃなくて、見たこともないものをいかに面白いものを書くか。想像だけである職業の人を書いて、その職業の人に「あれすごいわかったよ」って言われるとすごくうれしい。何も見ずにとじこもっても書ければ、永遠に描き続けられる。

<後半 デザイナー佐藤ナオキのオフィスにて>
松井:仕事をする上で決めているルールはある?
佐藤:ルーティンワークというか毎日同じことを繰り返す。繰り返していると微細な変化に気づく。たぶん脳がリラックスする。

佐藤:アイデアを一本釣りするんじゃない。エアコンのフィルターみたく常に受け入れている。たまにフィルター掃除すると、ゴミの中にアイデアが見つかる。日常で見つけて来るものが公式。クライアントからもらったお題を指数にして、問題を解いている感じ。問題が解けるとすっくりする。

佐藤:たとえば「きれいなハートを書きなさい」とクライアントに言われるとする。小さいハートの方がいいか、丸いハートの方がいいかとそこで議論しても、面白いアイデアはない。紙をまるめてハートを作るとか、ハートをどう生み出していくか、これもハートですよねという考え方を出せるか。
松井:平面的なものに固執していない。飛躍できる場所がないか探している。
佐藤;ちょっと見方を変えるだけでまったく新しいハートが生まれて来る。
佐藤:冷蔵庫をデザインしろと言われた時、冷蔵庫のリサーチをしたら絶対アイデアは出て来ない。冷蔵庫の活躍していない時間に何をやらせるか。ど真ん中を見ないで周辺を見ると、新しい冷蔵庫の形が出て来る。

松井:どうやってクライアントが喜ぶ点を見つける?
佐藤:目の前にある問題を解決してほしいとなった時、マーケティングの発想だと、過去からの情報を整理しながら、一歩先の未来を当てる。大きく飛躍できない。アイデアとしての爆発力がない。自分が理想として考えるのは、まずぽーんと先を考える。先に答えをいくつも想像する。その中で、一番問題と相性のいい答えを持って来る。
松井:これはもうセンスとしか言い様がない。

佐藤:絵は下手な方がいい。下手な絵でも伝わるくらいのアイデアがいいのではないか。自分のおかんとかおばあちゃんに「こういうアイデアなんだけど」と説明して、「へえ面白いね」と言ってもらえるかどうか。突破力があるかが大事。

佐藤:デザインには右脳型、左脳型がある。感覚、センスだけで戦えるタイプは、特にヨーロッパにいる。それを最初に見てしまった。これはかなわないなと悟った。じゃあ自分は何ができるんだろう。ありそうでなかったとか本当に些細なアイデアを膨らましていくとか、デザインを作ることで価値を生み出せないかなと。そこがスタート地点だった。

松井:何が好きかって言葉にできる? デザインの何が楽しいか?
佐藤:期待されること。どの職業でもそうかもしれない。ひたすら期待に応えたい。そのプロセスを楽しんできた。なんでも楽しめる。クライアントとして突然マグロ漁をやっている人が来て、「網を作ってくれ」と言われたら、一日でマグロ漁の大ファンになる。いいところばっかり見る性質がある。いいところを見て、それをどう伝えようと。与えられた条件すらも柔軟に受け止める。

松井:何でもデザインしている。
佐藤:身を任せるというか、柔道や合気道みたいな感じ。自分からこうしたいというのは、あまりない。
松井:姿勢としては待ち?
佐藤:かなり受け身。
松井:話を持ってこられたら困る話はある?
佐藤:完全お任せは辛い。一度受け止めたうえでのアイデア。問題がないと問題解決は発生しない。
松井:クライアントさんの情熱自体が燃料なんでしょうね。
佐藤:昨日まで他人事だったのをどう自分事にするのか。

佐藤:ノリとしてはプレゼントを考える感じ。何々欲しいですかって聞いて、それを買ってくるのはただの買い出し。その人が見えていない本当の願望を見せてあげる。予測をしながら、ドキドキしながら渡す。毎回プレゼンはプレゼント渡しの感覚。
posted by 野尻有希 at 23:21 | TrackBack(0) | 創作技術論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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