2015年09月07日

今週の活動記録〜ポラーニョ、谷崎、安部公房と続く文学の道

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2666
ロベルト ボラーニョ 野谷 文昭
白水社 2012-09-26

アメリカ大陸のナチ文学 (ボラーニョ・コレクション) 野生の探偵たち〈上〉 (エクス・リブリス) 野生の探偵たち〈下〉 (エクス・リブリス) トマス・ピンチョン全小説 重力の虹[上] (Thomas Pynchon Complete Collection) 売女の人殺し (ボラーニョ・コレクション)

by G-Tools , 2015/09/07



日記を書くのも億劫なので、1週間の記録をつけてみることにした。初回のため、1週間といわずここ数ヶ月の活動記録。

旅行もゲームもドラマにも飽きて来たので、映画を見ることに。ゴダール、ブニュエルなどをたくさん見て、ワイダ監督に行きつく。『灰とダイヤモンド』、『カティンの森』、『大理石の男』は素晴らしかったが、後期作品はあまり面白くなく、映画からも飽きて、しばらくずっと飽きていた小説に向かう。最近の世界文学の注目作を拾い読み。短編ではアリス・マンロー、長編ではポラーニョの存在を知り、刺激を受けた。

ポラーニョ『2666』を発端にラテンアメリカ文学の作家をおさらいすることに。ガルシア=マルケスは好きじゃなかったから、ボルヘス、フェンテス、コルタサル、カルペンティエルを渡り歩く。『巨匠とマルガリータ』文庫版も読み、アチェベ、チュツオーラ、ゴーディマなどアフリカ文学にも触手を伸ばし、ヘンリー・ミラー、ブコウスキーなどアメリカの異端にも手を伸ばす。ラテンアメリカ文学の源流にシュールレアリスムがあることを知り、バタイユ、さらにはその源流のサドにも手を伸ばしたところで、夢野久作『ドグラ・マグラ』、沼昭三『家畜人ヤプー』、谷崎純一郎『刺繍』『春琴抄』と来て、現在安部公房の『壁』を読書中という状況である。

途中に戦後70年ということで、赤坂真理の『東京プリズン』も読んだ。ほとんどキンドルか、キンドルがなければアマゾンで文庫を注文して購読した。読みかけの本もたくさんある。

アフリカ文学の中では、ゴーディマに刺激を受けた。主張するメッセージが明確。社会の不正を告発する目的で文学表現を行う、方法論が明確だった。

谷崎純一郎『刺繍』には、処女作であんな完璧な小説を書けるのかと驚愕した。新人賞では完成度の高い作品の方が高い評価を得る。完成度が低くても面白い作品はあるなんて思っていたけれど、谷崎の『刺繍』の完成度を前にしては、自分の考えが甘かったと認めるしかない。突き抜けた完成度、独自性もある、おそろしい。

谷崎の小説の登場人物は変態なのだけれど、変態には見えない。何故か。男女の恋愛が成立しているから。一方的な欲望とは違う。変態の犯罪ではなく変態の恋愛が描かれている。美しかった。

脚本を書いている時、途中やる気を失った。アニメ『ピンポン』の完成度が高すぎてやるきをもらって、復活できた。小説についても、今年の春にやる気を失った。何か完成度のものすごく高いものに出会ったらやる気をもらえると思っていた。自分にとっては谷崎の初期短編がそれに当たったかも。

谷崎に浸からず、現在評価の低い安部公房に進んでいくのは、今自分の書いている小説が安部公房っぽいから。安部公房はカフカっぽいと思ったし、影響を受けている作家が少なそうだから、読まずにいたけれど、いざ読んでみると、安部公房はカフカと違った。小説の師匠と仰ぐべき存在は、谷崎なのか安部公房なのか。と見定めながら、今書いている小説の構想を毎日練っている。

テレビゲームでは『龍が如くゼロ』クリア後、『ウィッチャー3』プレイ中。今までプレイしたテレビゲームの中で、最高かも。簡単に最高という言葉を使いたくないけれど、『ウィッチャー3』は確実に『グランド・セフト・オート』シリーズや『スカイリム』を超えたと思う。欧米的な自由度の高いゲームと日本的なストーリー重視のゲームの折衷。名作。テレビゲームが作り出す仮想現実に対して小説はどのような別の仮想現実を提供できるのか。小説が対決すべきは『ウィッチャー3』が提供する仮想現実だろう。

アニメでは、高畑勲の『おもひでぽろぽろ』『平成狸合戦ぽんぽこ』を見て、刺激を受ける。子供の頃は面白くなかった『おもひでぽろぽろ』、今見ると全く違う印象だった。宮崎駿とは違う作家性。ノスタルジアではなく精神の自己分析として回想を使っている。

高畑作品が素晴らしかったので、ここ最近のアニメで注目されていた『ラブライブ!』を見ることに。1期と2期を続けてみて、すっかりラブライバーになった。『けいおん!』とも『アイドルマスター』とも違う熱い脚本に胸打たれた。

今週の予定。安部公房を読みつつ、中村文則を読みつつ、現在創作中の『裸の電車と東京原子爆弾』の構想を詰めていく。小説は、新人賞以外にも出していきたい。『巨匠とマルガリータ』を読んだ影響か、作品を発表できるだけで、作家としては幸せだと思えた。弾圧されるくらいの小説を書いた方がいい。日本語小説でも、海外で読まれる可能性の高い小説投稿サイトが複数あるとわかった。現在投稿先を選定中。作品そのものが弾圧と誹謗中傷の渦の中心となるように、社会問題を告発するのではなく社会問題そのものになるような小説を書いていく。

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巨匠とマルガリータ(上) (岩波文庫)
ブルガーコフ 水野 忠夫
岩波書店 2015-05-16

巨匠とマルガリータ(下) (岩波文庫) 失われた時を求めて(8)――ソドムとゴモラI (岩波文庫) エラスムス=トマス・モア往復書簡 (岩波文庫) 古代懐疑主義入門――判断保留の十の方式 (岩波文庫) ヴィクトリア (岩波文庫)

by G-Tools , 2015/09/07

posted by 野尻有希 at 01:32 | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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