2015年09月26日

浦沢直樹の漫勉「さいとうたかを」より印象的な言葉のまとめ

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ゴルゴ13 178 (SPコミックス)
さいとう・たかを
リイド社 2015-09-05

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by G-Tools , 2015/09/26



浦沢直樹の漫勉「さいとうたかを」より印象的な言葉のまとめ。

浦沢直樹のプロデビュー作が載ったのは、さいとうたかを作『ゴルゴ13』が表紙のビッグコミック別冊だった。「ゴルゴをぶっ潰すとか言って描いていたけど、全然倒れなかった」と浦沢は大先輩のさいとうたかをに言う。

浦沢:読者は、誰が作ったものでもいいのかもしれない。面白いものが自分のもとに届けば。
さいとう:我々の世界は映画と一緒で先にお金を取る。それから本を売る。そういう世界である以上、お金を先に払っただけの値うちがなければ、その職業は絶対衰退する。

さいとう:新しいものを描きたい意識はある。でも私のものじゃない。読者のもの。やめたいのなんのなんて言えない。勝手にちょっと休むなんてできないのが仕事。やれる限りはやる、この年になっても。

さいとう:(自分がゴルゴの顔を描いている映像を見て)こんな描いているとは思わないだろうな。目だけしか描いてないとか言われているのに。

浦沢:ゴルゴ13は時事ネタをやっているけど、根幹にあるのは普遍的なもの。
さいとう:善悪の価値観だって時代時代で変わっていく。ゴルゴはその時代の善悪とかその時代の解釈で描かなかったから、何とか持ってきた。ぶれない姿勢はゴルゴの生きざまにも重なる。

浦沢:(さいとうが眉毛を描き込む映像を見て)表情の決め手は眉毛。

さいとう:リアルなドラマをやりたかった。映画をやる感覚だから。リアルなドラマにあう漫画の絵が描けず、絵をどうするかでずっと悩んだ。ヤケクソになって描き出した絵が、かつて勉強していた挿し絵の絵になった。挿し絵の作家で中一弥という人の絵が大好きだった。その人の絵が入って来たというか、その人の絵でしか描けなかった。漫画の絵を全部挿し絵で描いたら、今までの漫画と全然違う絵になった。

さいとう:結局読者を楽しませたい。

さいとう:若い頃日本画勉強したことがある。線で質感を出すことを覚えた。例えば一本の線を引くとき、その線が人の皮膚を表すのか、硬い鉄を表すのか考えながら線を引けと教わった。

さいとう:ほとんどの人が年寄りの皮膚を描けない。しわだけじゃなくて、線がかわってくる。
浦沢:僕は年寄りの専門家みたいに言われている。どういう線をいれると年寄りっぽくなるのか、ちょっとした線でかわってくる。年寄りを描くのは楽しい。
さいとう:そういうことを言えるということは、おたくは絵がうまい。なぁなかそういう人はいない。
浦沢:感覚がそういうとこに向かう。
さいとう:絵うまい人が気をつけなきゃいけないのは、絵を楽しんでしまって、全体を見なくなること。

さいとうたかをの創作風景。脚本家が書いた脚本を読み込み、構成と構図を考える。
さいとう:絵を描くより構成が一番好き。どう見せるか考えるのが。カメラ三台抱えて走り回っている感じ。どこをどう切り取るか。

さいとうは、どの漫画でも主人公を全部描く。

さいとう:ドラマ作りと絵を描く才能は別物。才能のある人が集まってやれば、よりよいものができる。

さいとう:やめようと思ったことはない。漫画の世界はもっと広がると思う。
浦沢:面白いものを見たがっているお客さんはたくさんいる。そこの質の高いものをたくさんの量届けるには、システムを作らなきゃいけない。
さいとう:システムができれば読者も得する、面白いものをたくさん見れて。

さいとうは、吹き出しの口を全て自分で入れる。読者の読みやすさを考えてのことだ。擬音も全部自分で考えて書き込む。最終チェックの最後まで妥協しない。しっかり描くと、作品に厚みが増す。

(所感)
僕もゴルゴ13は、アシスタントが全部描いていると思い込んでいた。実際ほとんどの絵はアシスタントが描いているけれど、主役ゴルゴの顔はさいとうたかを本人が全部描いているし、構成、ネームもさいとうが作っている。

ゴルゴ13は日本人全員が知っている顔。ずっと連載が続いている。連載をやり続ける意志と情熱はすごい。プロ意識が高い。読者のためによいドラマを作り続けたいという意志がある。マンガはもっとよくなるという楽観的希望を持って、仕事をしている。

嫌なこと、困難なことがあるとついつい仕事を投げ出しがちだ。出版やコンテンツ産業を取り巻く状況は閉塞的とよく言われるけれど、大御所はそんなこと全然思っていなくて、まだまだ改善発展の余地があると思いつつ、仕事をしている。仕事の姿勢として、見習うところが多数あった。

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BILLY BAT(17) (モーニング KC)
浦沢 直樹 長崎 尚志
講談社 2015-08-21

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by G-Tools , 2015/09/26




この放送で、浦沢直樹の漫勉セカンドシーズンは終了。第3期は2016年に放送予定とのことで嬉しい。小学館以外の作家も取り上げて欲しい。集英社や講談社の大ヒット作家の創作現場を見てみたい。
posted by 野尻有希 at 13:30 | TrackBack(0) | 創作技術論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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