2016年03月03日

『浦沢直樹の漫勉』シーズン2 第1回 少女漫画の神様・萩尾望都〜人物の葛藤を描く

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王妃マルゴ volume 1 (愛蔵版コミックス)
萩尾 望都
集英社 2013-01-25

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by G-Tools , 2016/03/03



『浦沢直樹の漫勉』シーズン2の放送が始まった。第1回は少女漫画の神様・萩尾望都の創作現場に潜入。

萩尾作品を貫くのは、人間、そして社会が抱える葛藤。骨太のテーマを描き、少女漫画に革命をおこしてきた。最近も原子力発電がテーマの「なのはな」など精力的に描いている。

午後一時から深夜三時まで、食事以外はほとんど休まず執筆する。

<人物の葛藤を描く>
浦沢:いつもそこまで追い込むかという感じの状況を作りますよね。追い込まれるのが好きなのか、追い込みたいのか。
萩尾:両方好きでしょうね。問題に直面している大人を書くのが好き。

浦沢:いわゆる天真爛漫な子どもは面白くない?
萩尾:子供も問題に直面している。漫画が好きだったせいもあるけど。一番好きな漫画を禁止されるわけですから。私は親のいう事を聞けない悪い子なんだと思考がいっちゃう。でもやめられない。
浦沢:漫画を描いていることイコール親に背いている感じ。

浦沢:高校生の時に読んだ手塚治虫先生の『新選組』が最大の転機だった?
萩尾:『新選組』を読んでから闇雲に私もプロになりたいと。プロになりたい気持ちが着火した。

浦沢:いつくらいに親に認められたんですか?
萩尾:『ゲゲゲの女房』のテレビドラマを見てからですね。
浦沢:ん? んん? つい最近じゃないですか!?
萩尾:お母さんがね、テレビを見取ったらね、水木しげるさんが一生懸命仕事をしとったたいって。
浦沢:え? そこですか?
萩尾:私がおちゃらけたことをしてると母はずっと思っていた。うちの娘もこれやってたのか。失礼いたしましたって。

<葛藤がこもった目>
浦沢:驚愕したり、深い悲しみになったり、そういう時の萩尾先生の目は、一種独特のものが宿っている感じがする。

浦沢:見てほしいのは目ですよね。爪描いてないですもん。爪書いちゃうとうるさくなっちゃう。
萩尾:指がね邪魔なんですよ。でも描かないといけないからなるべく抜けるところは抜こうと思って。だから、目のそばにある指はちゃんと描いて、他は邪魔だからすっと描きます。
浦沢:それをさらっとさりげなくやるんだよね。

<演技と演出>
浦沢:いい演技ですね。楽しそう。このなんていうかわがままなダメ男の顔。
萩尾:演技させるの面白い。

浦沢:少女漫画はデフォルメされた世界。演出も過多だし、お芝居も過多だし。ミュージカルに近い気がする。
萩尾:私も映画より舞台に近い気がする。
浦沢:リアルな映像だとちゃんと見せなきゃいけない。時系列も。舞台だとちょっとした転換で、照明がぱっと変わっただけでまったく違うシーンになる。少女漫画と似てますよね。

浦沢:二人が組むところってすごく難しいですよね。感情高ぶっていますし、そういうの反映しなきゃいけない。
萩尾:どこらへんの位置なら綺麗につかんでいる構図になるかなって。
浦沢:思ったより近づきましたね。距離感だけでずいぶんと演技変わりますからね。
萩尾:手の力の入れ具合が変わってきます。力の入れ具合とか。
浦沢:萩尾先生は手の表情にこだわりますよね。
萩尾:手はいろんなことを語ってくれますよね。指の表情で最初にすごいショックを受けたのが、ちばてつやさんなんですよ。『紫電改のタカ』なんかで。手の甲でしゅっと汗をふくあの色っぽさ。
浦沢:矢吹丈もよくやりましたよ。
萩尾:あれでドキューンってなっちゃいますね。
(つかみかかる手を描くことに何度も修正を重ねる)
浦沢:漫画家さんはこういうところで悩んでますよね。ここに重要な演出があるって思ってますからね。
萩尾:そうですね。ここで押さえこんどかないと。
浦沢:ここないがしろにしたらだめだって、こだわってますからね。

萩尾:こういう物語に私は救われたし、私はとても楽しいと思う。自分が感動したものをまた読者に伝えたい。だけど笑ったり泣いたり感動したり、感情を揺さぶることは実はとても大変なことで、こっちも必死にやらないと伝わらないです。

浦沢:毎回白紙から違う絵を描くから、毎回初心者みたいになりますよね。
萩尾:難しい。描いても描いても難しい。
浦沢:四十何年描かれているとは思えないくらい、楽しそうですよね。きっと少女時代に描かれた時と同じ様子で描かれているんだろうなっていう感じが。
萩尾:私は少女漫画が好きなんでしょうね。いろんなことが入っているし、可能性があるし。
浦沢:好きだからこそ執念がある。「この道を守り通すぞ」みたいな、そういう執念を感じますよね。なんかこう「頑張ろう僕も」って感じがしますね。

萩尾:とにかく一日暇があったらずっと絵を描いているわけです。歌手の人なんか毎日歌ってるような感じしません? お笑いの人とかは毎日ネタを考えているとか。そういう人いるんじゃないかな。まあやめなさいと言われてもやめられるもんじゃないですね。

次回は「アイアムアヒーロー」がヒット中の花沢健吾の現場に潜入。


(所感)
自分小説書くの好きじゃないのかもと見ていて反省。そして同時にいっぱい小説を書こうと思い直してみたり。ただただ書くのが好きでやめられない状態。どんなに否定されても、やめろと言われてもやめられない状態。そういうゾーンで書き続ける幸福。

とりあえず毎日小説を書こう。書こうと決意して書くんじゃなくて、苦しくても書くのが楽しいから書き続ける状態へ。
posted by 野尻有希 at 23:58 | TrackBack(0) | 創作技術論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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