2016年07月12日

何も書くことがない日でもとにかく書く

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かくかくしかじか 1 (マーガレットコミックスDIGITAL)
東村アキコ
集英社 2012-07-25

かくかくしかじか 2 (マーガレットコミックスDIGITAL) かくかくしかじか 3 (マーガレットコミックスDIGITAL) かくかくしかじか 4 (マーガレットコミックスDIGITAL) かくかくしかじか 5 (マーガレットコミックスDIGITAL) ママはテンパリスト 1 (クイーンズコミックスDIGITAL)

by G-Tools , 2016/07/11



何も書くことがない日でもとにかく書く。書きたいことがなくても書く。書く気になれない日も書く。ひたすら書く。何を書きたかったのか忘れた。何のために書くのかも忘れた。好きな物を好きなように書いたらいい。何になる必要もない。他人に媚びを売る必要もない。他人に気に入られようとして自分を殺す必要はない。とにかく書く。テキストエディタさえあれば、君は書くことができる。

会社から家に帰ったのは、二十一時過ぎだった。女性二人が僕の前を歩いている。二人とも体は細く、似たようなカーディガンとスカートを身に着けている。飲み会の帰りなのか、話しながらゆっくり歩いている。駅前の歩道は狭いので、追い抜けない。僕もゆっくりと歩いた。

僕の後ろからワイシャツ姿の男性が急ぎ足で歩いてきた。彼は僕を追い越し、二人の方に近づいた。二人は後ろから追い越そうとしている彼の気配を感じたのか、体を寄せて道を開けた。

追い抜く彼の歩調に合わせるように、僕も歩く速度を上げる。彼に続いて二人を追い抜いた。

僕はそのままコンビニに入った。いつも通っているコンビニだ。ハイボールのつまみ用に冷奴セットを買って、レジに向かった。レジには中国人か台湾人の店員がいる。彼は他の店の店員に比べて接客態度が悪い。レジ打ちは速いのだが、言葉遣いがそっけない。レジを打つ時、商品をビニール袋に入れる時、手つきがほんの少しだけ乱暴だ。僕は彼の接客態度が気になる。注意はしない。

僕は商品をレジ台の上において、百円玉もおいた。手作業をしていた彼は作業を止めて、まず百円玉を手に取った。開きっぱなしのレジに百円を入れようとして、商品のバーコードをまだ読み取っていないことに気づいた。彼は百円をレジ台の上に戻してから、冷奴のバーコードを読み取った。

「箸つけますか?」

しゃがれた声で、下を向いてそう言った。

僕は下を向いたまま「いいです」と首をふった。

彼は冷奴を手早く小さなビニール袋に入れた。百円玉をレジに入れると、三円を取って僕に渡した。

僕は足早にコンビニから出た。歩きだすとともに、僕の前を歩いていた二人連れの女性の姿を探した。もう見えない向こう側に行ってしまっただろうか。

彼女達は駐車場を超えて、別のコンビニの手前の歩道を歩いていた。僕と彼女達を追い越した男の姿は見えなかった。

僕が入ったコンビ二から、別のコンビニまでは、歩いて一分で行ける。そんなにコンビニが必要かと思うけれど、儲かるから出店するのだろう。

彼女達は談笑しながらゆっくり歩いている。一分以上かかっただろう。彼女達にとって歩行はあまり重要ではないかもしれない。友達と話す時間を引きのばすことが重要であって、急ぐこと、目的地にたどりつくことは、彼女達の目標ではないのだろう。

僕は冷奴を持って、自宅に戻った。二十一時十分過ぎだった。風呂を沸かして、風呂に入って、ヨガをしたとしても、二十二時だろう。小説を書く時間はたっぷりある。

疲れたとか録画番組を見たいとか冷奴を食べたいとか、うだうだいいわけしている暇があったら、小説を書く。疲れを感じながらも、心の底から見たいわけでもない新作アニメの第一話録画を見ながらも、ハイボールを飲んでひややっこを食べながらも、小説を書くことはできる。書け書け書けひたすら書け。僕の人生の残り時間、暇がある限り、ひたすら書くのだ
posted by 野尻有希 at 00:03 | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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