2010年04月05日

インターネットが僕の仕事場〜書く仕事の意義

「無用な競争をする必要はない」という哲学を受け入れているのに、新人賞に応募するのは、矛盾している。インターネットがあるのだから、出版に頼る必要はないし、新人賞に応募する必要もない。

そう昔から思っているのに、欲が出て応募していた。もうやめよう。これからは、この場を主な活動の場とする。インターネットが主な仕事の場だというのは、昔からそうだった。自分で意識できなかっただけだ。これからははっきりと、自覚しよう。インターネットが、僕の仕事場だ。続きを読む
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2009年11月27日

新人賞戦記:世界の利益のために書くこと、動物保護と初公判と

体が痛い。

寝不足。働き過ぎ。座る姿勢続けすぎ。

新人賞の原稿にプレッシャー受けすぎ。

考えすぎないこと。

肩に力を入れすぎないこと。

自分の利益のためでなく、世界の利益のために書く。
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タグ:動物保護
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2009年11月26日

新人賞戦記:非戦、非暴力、非競争主義

非戦主義から、非暴力主義へ。非暴力主義から、非競争主義へ。

競争することのむなしさを知れ。続きを読む
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2009年11月22日

新人賞戦記:中野サンプラザのネットカフェサイバック最高



新人賞用応募原稿の執筆場所として、ネットカフェをよく利用している。古くて汚い店、茶髪の兄ちゃんが店員の店、静かで落ち着いた店など、ネットカフェにも様々あるが、今日入った中野サンプラザのサイバックは、過去最高に清潔、上品、高級、サービス充実で感動した。続きを読む
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2009年11月20日

新人賞戦記:深夜0時以降は、小説を書かないようにする

今日は、新人賞を取るまでに必要な修業時代を乗り越えるための秘策を書くことにする。私自身いまだ修業時代の最中だが、「深夜0時以降、小説を書いてはいけない」というのは、金言だ。

何も精神的な話ではない。単純に、翌日の仕事に影響するのである。夜0時以降小説を書いていると、調子が出た場合、頭の神経が活性化する。ベッドに入っても興奮して眠れなくなる。翌日は朝からずっと頭痛に悩まされるはめになる。一日疲労の極致に陥りつつも、帰ってきてからまた深夜0時過ぎまで小説を書く。興奮してのってくるのだが、翌日さらに疲れる。金曜日には全身磨耗して廃人同様。夜0時過ぎは小説を書かない方がいい。続きを読む
タグ:新人賞 心得
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2009年11月18日

新人賞戦記〜楽観的にどうせ駄目だよねと思うことの重要性

軽い文章の調子で適当な記事を書くとブログのアクセス数があがると思っていたが、深刻で重たい話を重量級文学の調子で書いても、アクセス数が変わらないことに気づいた。思い込みにすぎなかったようだ。大切なのは、毎日記事を書くことと、できれば一日たくさんの記事を書くこと。記事の内容による違いがそれほどの差異をもたらさないならば、やはり自分が心から好きな書き方で、書いた方がいいのではないか。

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2009年11月17日

新人賞戦記〜全身疲労の原因はただのストレスか



月曜日は、朝からずっと頭痛、腰痛、肩こり、全身筋肉痛が続いた。アミノ酸をとっているのに、これはどうしたことだろう。午前中、昼とずっと気分悪い。午後3時頃、頼まれていた図表作りの副業が終わった途端に、明るい気持ちになった。体の痛みもひいた。

なんだ、たったこれだけのことか。アミノ酸も、首のこりも、関係ないんじゃないか。ただ単に嫌々やっている仕事があるおかげで、全身疲労が生じていたのではないだろうか。情けない話だ。続きを読む
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新人賞戦記〜小説のトーンを定める

自分が今書いている小説は何なのか。

アイデンティファイするのは嫌いだけれど、わかりやすいラベルを貼ってみたい欲望はある。書き終わった小説の一部をブログにアップする際、記事のタグを何にしようかと悩んでいる最中に、今書いているこれは、生命倫理、環境哲学をテーマにした小説ではないかと思えてきた。生命倫理文学こそ、自分が書くテーマではないのか。

まだ曖昧模糊としてわからない。はっきりわからないからこそ、小説にして書いていくのだけれど、これからは生命倫理という言葉をキーにして、小説を書いてみることにしいよう。続きを読む
タグ:新人賞
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2009年11月13日

断章:道路に積み重なる裸の女性の死体

(以下の文章はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。過度な期待はしないで下さい)

道路に裸の女性の死体が大量に積み重なっている。誰の仕業だろうか。美しく、若い女性たち。生きていれば、さぞかし魅惑されただろう。彼女たちは殺されている。裸にされてまでいる。彼女たちを殺したのは誰だ。アスファルトの上に血だまりができている。彼女たちに人は近づかない。自動車も通らない。警察官もいない。彼女たちは東京から置き去りにされてしまった。

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2007年07月24日

ポール・マッカートニー対地球人二代目

 九四

 誰にも縛られない。ロープは山を登るためだけにある。パンクは世界を蹴飛ばすためだけにある。

 九三

 インターネットの時代の未来派の言葉。あいているふたは全部しめろ。それが嫌なら全部開けろ。開けた後でいつでもしめられる。

 急に

 ポールと地球人が印税をめぐって遊んだ。

 旧位置

 君は小説を読んでいる。けれどこれは小説じゃない。ずらされた夢だ。いつか見た小説家の家で寝ている夢。裸でベッドの上で子どもが三人泣いていて、みんな自殺したがっていて、回っている先生が携帯電話で連絡している。死ぬな、生きろって。

 九重


<<<<<>>>>>

 強力な塊

 超特急で君を運ぶあの真っ黒な塊は誰だろう。巨大な劣化ウラン弾が。
 
 歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて。ごみだ。これはごみだ。ごみだごみ。ごみごみごみごみごみごみごみごみごみごみgmmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgggggggmmmmmmgg

 零れ落ちる人。慰めて慰めて。滝を。落ちる。釜。
 毛布。祈り。祈り。祈り。祈り。祈りいんろいい祈り。祈り。いのおり。大入りの炉尾蝋色イリノイいいのろい。意rの言いのいのののりいろいおりりrのいろいrのんももう日本語の原型をとどめず、ただひたすらタイプしていく快楽煮。脳みそ湯立てて。

 明るい場所で即毒素口調。いえいえ速読即超。いえいえ速読速超。

 もれいずる黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒いっ九九r苦労路w個wかじゃ尾kkjkjlkjrkrkr区rkrrkkkkkkkkr区rr区r区るるるるるるrに本後に二本居に語に荷に五ノン日本語おかしいだろお前お前もももっももお目亜喪日本語おかしいだろおおおろろろろろろ六炉言う追い会うをえいうろいうろあいうえおいうらうぇkjflskjふぁいおうえおりうあlkjふぁいえうらおwjfkj。

 明るい場所で速毒素口調。今日も平和。柏崎。

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もう勝利するとかそういうゲーム概念の外円に飛び出て


 九六
 
 もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度こうやってリズミカルにもう一度と売っていくとトランス状態に突入してくる字のうち間違いも問題なくなる今ごろ勧告の人質はタリバンに殺された廊下。

 救護

 赤い服を着ていた小さな女の子。白いマンションのど真ん中で女の子が飛び降り自殺した日。ママの更年期に。五人連続でバスから飛び降りた日。

 九四

 誰にも縛られない。ロープは山を登るためだけにある。パンクは世界を蹴飛ばすためだけにある。

 九三

 インターネットの時代の未来派の言葉。あいているふたは全部しめろ。それが嫌なら全部開けろ。開けた後でいつでもしめられる。

 急に

 ポールと地球人が印税をめぐって遊んだ。

 旧位置

 君は小説を読んでいる。けれどこれは小説じゃない。ずらされた夢だ。いつか見た小説家の家で寝ている夢。裸でベッドの上で子どもが三人泣いていて、みんな自殺したがっていて、回っている先生が携帯電話で連絡している。死ぬな、生きろって。

 九重


<<<<<>>>>>

 強力な塊

 超特急で君を運ぶあの真っ黒な塊は誰だろう。巨大な劣化ウラン弾が。
 
 歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて。ごみだ。これはごみだ。ごみだごみ。ごみごみごみごみごみごみごみごみごみごみgmmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgmgggggggmmmmmmgg

 零れ落ちる人。慰めて慰めて。滝を。落ちる。釜。
 毛布。祈り。祈り。祈り。祈り。祈りいんろいい祈り。祈り。いのおり。大入りの炉尾蝋色イリノイいいのろい。意rの言いのいのののりいろいおりりrのいろいrのんももう日本語の原型をとどめず、ただひたすらタイプしていく快楽煮。脳みそ湯立てて。

 明るい場所で即毒素口調。いえいえ速読即超。いえいえ速読速超。

 もれいずる黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒い黒いっ九九r苦労路w個wかじゃ尾kkjkjlkjrkrkr区rkrrkkkkkkkkr区rr区r区るるるるるるrに本後に二本居に語に荷に五ノン日本語おかしいだろお前お前もももっももお目亜喪日本語おかしいだろおおおろろろろろろ六炉言う追い会うをえいうろいうろあいうえおいうらうぇkjflskjふぁいおうえおりうあlkjふぁいえうらおwjfkj。

 明るい場所で速毒素口調。今日も平和。柏崎。
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ポール・マッカートニー対地球人

夢意識の祭典

 人間の無意識とは、夢の意識でなかったの。
 ここから先の物語は一切の意味づけをしない、夢意識から湧き出るお話です。
 と書いている私の意識は今、夢を観ていない。
 一切は空である。一切は夢です。

 九九 

 誰も泣いていない。誰も笑っていない。誰かが怒っている。泣いている。後押ししてくれている。

 気持ちいい。気持ちいい感じで進もう。夢を見ていたころ。誰もわかってくれなかった頃。誰かがわかっていてくれたかもしれないころ。落ち着くところに落ち着けない頃。

 九八

 祈っていても終わらないし嗤っていても終わらない。早く終わらせろ。ママが言った。ママは天皇だ。

 キュウナナ

 どれも欲しくない。何もいらない。全て欲している。これは黒ずんでいる。あれは赤ずんでいる。誰かが怒った。起こった後で笑った。髪は泣いていた。

 九六
 
 もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度こうやってリズミカルにもう一度と売っていくとトランス状態に突入してくる字のうち間違いも問題なくなる今ごろ勧告の人質はタリバンに殺された廊下。

 救護

 赤い服を着ていた小さな女の子。白いマンションのど真ん中で女の子が飛び降り自殺した日。ママの更年期に。五人連続でバスから飛び降りた日。
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2007年04月23日

新人賞制度そのものをまず批評してみる

新人賞制度を批評的に解釈した小説を書く試み。

批評性。しょっぱなの前提から疑ってみること。

新人賞の広告を見ると、みな新しい感性の登場を求むなんて書いている。あれは、批評性を持った小説の応募を待っているということか。

そもそも、応募する行為それ自体が終わってる行為ではないのか。新人賞に応募することはきわめて恥ずかしい行為ではないか。それで落ちても恥ずかしいし、受賞しても結局恥ずかしいんじゃないのか。

そもそも、今の時代小説を書く行為それ自体恥ずかしいことではないか。小説を読むことはなんとなく許されるけど、書くことが恥ずかしいというか、自己表現することはやっぱり恥ずかしいんじゃないのか。今の時代自己表現すること、クリエイティブであることは賞賛されているが、よくよく考えると、これはきわめて恥ずかしいことじゃないのか。社会全体がなんだか恥ずかしいんじゃないのか。

そもそも、生きていることが恥ずかしい。恥辱だらけ。

応募なんてしないで、書いた作品を燃やしてみる。ブルガーコフみたいに。

応募して受賞するくらいの作品なら、ネットに発表した方が手っ取り早いんじゃないのか。

下読みや編集者や審査員の選考過程と、ネットリーダー層の選考過程では明らかに違っている、どちらが優れていると言えるわけでもない。

新人賞に応募しないでどんな作品を作り出してみるか。新人賞制度そのものを批評する小説。「株式会社世界文学」の代理受精。

新人賞制度そのものをまず批評してみる。応募して評価される側から、応募制度を批評的まなざしで吟味する位置へ移動。そこから、出版社が用意した競争原理とは異なる原理で動く作品が生まれる。
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2007年04月08日

小説「いじめ自爆テロ、同時多発中」

おとぎ話「いじめ自爆テロ、同時多発中」

ある日、東京都在住の中学生が自宅で自爆したというニュースが流れた。「いじめが原因で自殺しようと思いました、ただ死んでもあれなので自爆してみます。」という遺書がキッチンに残されていたという。その翌日、埼玉の中学生女子が、自宅で自爆した。彼女の自爆には母親と兄がまきこまれた。後日、彼女の所属する運動部で、いじめに類する暴行行為があったと報道された。

その一週間後、ついに福岡で、中学校の教室で自爆する生徒が現れた。自爆した生徒をいじめていたと目される男子4名が爆発にまきこまれ死亡した。

とある週刊誌はこの事件をいじめ自爆テロと名づけた。

「これは報復行為です。いじめられていた優しく、正義感溢れる子どもたちは、非道に対しついに反逆したのです!」と午後の情報番組で中年の文化人が熱狂した。

福岡の事件から5日後、神奈川と京都の中学校で自爆する生徒が現れた。神奈川の事件ではホームルーム中だったクラスの生徒20名と担任が重軽傷をおった。京都の事件は文化祭の最中におこった。合唱コンクールで列のちょうど真ん中にいた女性徒が二番を歌っている最中に自爆、ステージで起きた突然の惨劇を生徒全員と保護者たちが見ることになった。

続く
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2007年03月31日

小説を出してきた帰り道、内田樹を買う

photo
狼少年のパラドクス―ウチダ式教育再生論
内田 樹
朝日新聞社出版局 2007-02
おすすめ平均 star
star教育問題の経絡
star読むと気分が落ち着く
star狼少年の声に耳をかたむける

下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち 東京ファイティングキッズ・リターン 先生はえらい 私家版・ユダヤ文化論 テレビ標本箱

by G-Tools , 2007/03/31



小説を出し終わった帰り、紀伊国屋によって内田樹の本を買った。

新人賞出そうかどうしようか、結局今日の十二時まで迷い続けた。迷っていると体が硬くなる。出す決意が固まったら、体が軽くなった。3月までたくさん草稿を書き溜めていたけれど、2年前に書き上げて、これは新人賞に応募しても難しすぎて一次選考で落ちるだろうと想っていた小説を、ほとんど改変なしで送ることにした。表現や単語をわかりやすくしてもよかったが、難しいままで出した。

内田樹の本にも、専門用語の使用を禁じようとしてくる新聞社に怒る内田の姿が描かれていた。読者の利便のためでもなく、小説家の利益のためでなく、ただひたすら、小説作品そのものにとってベストの表現を今後求めることにする。このブログもそうだ。僕の利益のためでなく、訪問者の利益のためでもなく、ブログそのものの内容が充実することを願って、更新を続けていくことにする。

消費者の喜びのためにみなが商品を作る、サービスをする。すると、消費者はどんどんわがままに、自己中心的になっていき、消費の場面以外の場所でも、自己中心的に振舞うようになる。消費者に仕えているサービス者は、サービスの間は卑屈になっているが、仕事が終わると、自己満足の最大化を求める消費者になる。各人が己の満足を求めていく結果、社会の幸福が進展するのか、それとも殺伐としていくのか、ストレスが増大するのか。

ストレスという単語がここまで流通するとは想わなかった。ストレスなんて言葉、なければみんな人生が楽になるかもしれない。

はじめに言葉があった。言葉から世界が生まれた。神は言葉であった。言葉とはストレスであった。
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2007年03月07日

新人賞に僕は全面降伏しました

新人賞に降伏する。それは天狗の鼻をへし折るということである。自分のプライドを全て捨てて、新人賞のためだけに小説を書くということでもある。僕は新人賞に敗北したことを認め、新人賞の捕虜となります。新人賞と戦うのはもうやめて、これからは新人賞のために働きます。降伏した僕は新人賞の戦士となるのです。

新人賞と戦っているうちは、新人賞のことを小ばかにしている。天狗だ天狗。新人賞を受賞した人も小ばかにしている。新人賞の下読みさんも選考委員も出版社も、新人賞受賞作を読む読者まで小ばかにしている。ほんと最悪の天狗なわけだ。

新人賞と戦っているうちは、応募者全員が同士である。自分だけ新人賞を受賞してしまっては、同士がかわいそうではないかと思ってしまう。新人賞に降伏した後の僕は、新人賞のために戦う。もう同士の姿は見えなくなる。新人賞と僕は一対一の関係になる。僕の主人は新人賞。新人賞の喜びのために生きるだけ。人生を全面的に新人賞のために役立てていこう。もう新人賞のことしか見えない。いつも新人賞のことばかり考えてしまう。周りが見えなくなる。新人賞の未来が気になるし、新人賞の子どもが気になる。

自分のエゴ、名誉欲を満たしたいというげひた心も、新人賞に降伏すれば消えてなくなる。僕は新人賞の捕虜だ。捕虜には自由もエゴの承認も許されない。最低限の人権が保障されていればそれでよし。囚われの身の僕はただ新人賞さまに見放されないよう、いつもびくびくおびえながら小説を書くだけだ。書く小説はただひたすら新人賞様を喜ばせるためだけの奉仕となる。僕のエゴなんて混入してしまったらすぐ殺される。毒殺されるかもしれない。おおこわい。捕虜の身は本当に大変だ。けれど、戦場で殺されるよりはましだ。僕は生きて小説を書くことができる。それだけで幸せだ。新人賞と戦い続けていたら、いつか死んでしまう。立派な捕虜として生活していれば、新人賞に愛想をつかされない限り、僕はかつての敵国で平和に暮らすことができる。

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2007年02月22日

家族の私小説が続く

東京駅から中央線に乗って新宿駅に向かった。電車の中で僕ら三人は横に座った。僕の隣には父が座り、その隣に母が座っている。親子三人で電車に乗るなんて、記憶にほとんどない。ひょっとすると、これが初めてかもしれない。

「新宿に着いたら買い物の前に食事しよう。ヨドバシに行くんだろ。途中のどっかよろう」と父が言った。行く店は僕が決めていいという。思い当たる店がなかったから、小田急のレストランフロアに行くことにした。新宿駅前のデパートと言えばルミネによく通っていたけれど、ルミネでは若者が多すぎるように感じたから、小田急にした。やっぱり小田急にはおばさんがたくさんおり、二十代の客は少なかった。こんな感じのデパートなら、両親もくつろげるだろうと思ったのだが、入った中華料理屋は最近できた東京の高級店という感じで、父も母も居心地悪そうだった。せっかく東京で、家族三人で外食するのだから、いい店に連れて行こうと思ったけれど、かえって恐縮させてしまったようだ。

食べ終えてから、ヨドバシカメラに向けて歩いた。新宿駅からは少し距離があるから、歩くのは辛いかなと思ったけれど、駅から外に出てすぐヨドバシの看板を見つけた母は「近いねっか」と言った。

僕を先頭にして、人通りの多い歩道を歩いていく。親子三人で道を歩くのも何年ぶりだろう。ヨドバシカメラにつくと、客の多さに父母はびっくりしていた。一階はパソコン売り場なのだが、大画面の液晶ディスプレイが並んでおり、父と母はすっかりここがテレビ売り場と思ってしまったようだ。
「4階に行くぞ」と言うと、「ここじゃなかったのか」と驚いていた。
 テレビの売り場につくと、テレビ機能つきのパソコンよりさらに大画面の液晶テレビがずらっと並んでいた。
「好きなの探せ。そこで休んでるから」と言って、父母はレジ前の休憩所に向かった。僕は十万円の予算ぎりぎり、アクオスの26型を選んだ。予算ぎりぎりで悪いなとも思ったが、父にこれが欲しいと言うと、「店員呼んで来い」と言う。一人暮らしの社会人なのに、こうしてテレビを買ってもらうと、本当に子どもの頃に戻ったように感じた。
posted by 野尻有希 at 00:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 新人賞論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月20日

家族の私小説は続く

新幹線から降りてすぐ父が「お前の職場地下鉄だろ。買い物は新宿でするだろ。JRで新宿行った方が早いから、先に新宿に行こう。職場見に行くのは明日の朝でもいいねっか」と言った。

数週間ほど前、父に内緒で母からファックスが送られてきた。「あなたの生命保険を解約したら、10万円ほど利子が出ました。あなたは洗濯機持っていないから、引越祝いに洗濯機を買ってやらなければならない、買ってやらなければならないとお父さんが言っています。洗濯機は買ったかと聞かれたら、今度の給料で買うつもりだといって、買ってもらいなさい。我々からのお祝いです」と書いてあった。ちょうどその頃、インターネットで洗濯機を注文しようと考えていたところだったので、この思わぬプレゼントは大変ありがたがった。ただ、引越し前日、母から電話で「お父さんに洗濯機買ってもらえな。土曜日近くの電機屋で買って、日曜日届けてもらえばいい」と言われた時、今週分の洗濯ものはまたコインランドリーで洗う必要があると気づいた。だったら、この電話が終わった後すぐインターネットで洗濯機を注文して、4日後くらいに届けてもらって、お金は父が来た時もらえばいいのではないかと考えた。

両親としては、インターネットで僕が注文したものの代金を後で出すというのでは、僕に引っ越し及び転職祝いをプレゼントしたという気持ちになりにくいだろう。僕のずるがしこい頭は、予算的にきついけど、洗濯機は自腹で購入し、父には液晶テレビを買ってもらおうかなと悪だくみした。デジタルチューナーつきの液晶テレビは安いものでも八万円くらいはする。お願いするのも悪い話だけど、だめもとで話だけでもしてみようと思った。

僕は洗濯機を引越し前日にネットで注文し、四日後には届けてもらった。両親が来る前々日、父から「洗濯機は買ったか」と電話で聞かれた。
「うん」
「そうか。じゃあアイロンはあるか」
「持ってる」
「そうか。なんか必要な家電あるか。こういうのもう最後だろうから、買ってやるぞ」
「テレビが欲しい」
 僕は小さい声で要求した。
「テレビか。そうだな。どこで買う。新宿あたりか」
「うん」
 こう話している時の僕は、欲しいものを買ってもらう子どもに戻っている。
「わかった。じゃあ東京着いたら新宿に寄って買い物しよう」
 僕は心の中でやったと思い、同時に父に悪いことをしたなと思いもした。父は洗濯機を買ってあげようと言いもしなかった。「洗濯機あるか」と聞いただけだ。当然父は母から僕に情報が行っていることを知らないだろう。僕は予算が十万円ほどあるなら、洗濯機よりテレビを買ってもらう方がいいと考え、父の厚意を自分に都合いいように利用したのだ。この企画に母が一段絡んでいるが、結局母は、僕が洗濯機でなくテレビを要求したことを咎めもしなかった。
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2007年02月19日

家族の私小説1

土日に両親が上京してきた。両親そろって上京するのは、僕が社会人になった時以来四年ぶりだ。あの時は引越し当日、引越しを手伝いに来てくれた。

先月、引越しすると電話で伝えたら、「今度は手伝わないぞ。お前でやれ」と父が言った。まあ当然だと思った。引越しが落ち着いたら、東京に行っていいかと父がすぐ聞いてきた。
「お母さん母はもう身体が思うように動かないけど、もしかしたらお母さんも連れて一緒に行くぞ」
引越しの週に冬休みの連休をとるので、冬休みの間に来ないかと誘ってみた。冬休みが終わる土日に両親とも上京することになった。

土曜日の午前11時、新幹線のホームで両親を迎えた。大学生の頃までは、上京してきた両親の服装を見ても何も感じなかったが、社会人となってからは、もっとおしゃれな格好をしたらいいのにと不服にも思うようになった。両親とも身体が小さくなったように感じ出したのも社会人になってから。実際そんなに食べなくなったと聞くから、身体の線が細くなってもいるのだろう。父も母も、おじいちゃんおばあちゃんに見えた。とりわけ、去年の秋に二人とも長年続けていたケーキ屋の仕事を辞めたから、こんなことを言ったら失礼だが余計か弱く見えた。

母はリュウマチで身体が悪くなっており、階段の上り下りに苦労していた。
「よっこらしょ、よっこらしょ」と言いながら、母は階段を進む。下りる時はいつも手すりにつかまり、後ろ歩きでゆっくり降りた。背中から下りていく方が楽なのだという。父は母に寄り添ってゆっくりと歩いた。僕は二人のいささか前で、それでも東京の普通の人たちよりゆっくりと歩いた。

東京についてすぐ、僕の転職先のビルを見に行く予定だった。前の会社では、職場を見に行きたいとは一度も言わなかったが、この秋に転職した会社が、田舎暮らしの二人の眼から見てもしっかりしているように感じたのだろう、職場に来たがった。休日でも出勤している人はいるから、僕は両親と歩いているところを同僚に見られたら恥ずかしいと思って、二人の希望に乗り気ではなかった。もっと若かったら、恥ずかしいと思うだけだったろうが、二十八歳となった今では、両親が息子の東京での仕事を誇りに思っていることが理解できもした。何より、身体の自由がきかない母と、母より一つ年上の父を実家に残して、一人東京で働いているのだ、少なくともそれくらいは両親の願いを叶えるのが筋だと感じた。

新幹線から降りてすぐ父が「お前の職場地下鉄だろ。買い物は新宿でするだろ。JRで新宿行った方が早いから、先に新宿に行こう。職場見に行くのは明日の朝でもいいねっか」と言った。
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2007年02月07日

村上隆、新人賞、芸術性と商業性の両立可能性

最近考えたこと。

くりいむしちゅーの深夜バラエティー、M−1の偽物を見て。
自分は評論家になりたいわけじゃなく、小説家になりたいのだから、人の作品を論評するのはもうやめて、ただひたすら小説だけ書いて発表していけばいいのではないか。しかし、ネットだと小説より評論を書いた方が、アクセス数アップとなる。検索ワードのヒット率が上がるせいだろう。たくさんの人に検索してもらえる小説を書くことが、媚をうっているみたいで今まで嫌だったけれど、そうも言っていられない。媚を売ることと、読者のことを想って小説を書くことは根本的に異なる。媚を売るのは何故か。自尊心を満たしたいためだ。自分の満足のために媚を売るのは嫌いだ。読者の喜びと成長のために小説を書く。

読者の成長のために小説を書く、なんて書いていると、なんて傲慢な言葉を吐いているんだろうとすぐに想ってしまう。これは自分の言葉に自信がないせいだと気づいた。自信があれば、どんな言葉でも言える。後悔するのは、自分の言動および作品に自信がないときだ。力強い作品が書けたら何でも言えるだろう。


その2
村上龍の番組に出ていた村上隆を見て。

村上隆は日本の美大生から評価されていなかった。お金のためにやってるんでしょとか、彼自身はオタクじゃないから、そういうところが嫌いとか。確かにこうした言葉遣いはよくわかる。僕自身も時としてそう感じる。村上隆はこうした美大生に反抗的だった。世界の一流の人たちに評価されるためには、きれいごとなんて言ってられず、真剣勝負で挑まないと評価されないと彼は言う。

印象的だったのは、芸術家気取りの美大生と芸術家の相違点はどこにありますかという質問に対しての回答。

とある作家の作品を見て、有名になる前の村上隆は素晴らしいと感嘆した。その場にいた芸術家志望の友は、この人の作品はそんなによくない、美術史から外れているし、新しいものがない、君の鑑識は間違っていると酷評した。この批判に対して村上隆は、アートのヒストリーにがんじがらめになっている人はアーティストじゃないと考えた。ヒストリーにとらわれることなく、「オープンマインド」で素晴らしいと感嘆している人を前にして、こういう言葉で否定する輩は好きじゃないと隆は言う。

それを聞いてて、僕は文学のヒストリーにがんじがらめになっているなと感じた。文学の歴史を引き継ぐ作品を書いていくぞと意気込んでいるわけだが、文学史を理解している読者なんてそう多くないし、そうした作品は商業ベースにのらない。ヒストリーよりも、オープンマインドで生活すること。オープンマインドで呼吸すること。

一時期あまりに新人賞に拒絶されたから、受け狙いの、媚を売った作品を書いていた。これならすぐに賞を取れるし、印税もがっぽがぽだろうと想っていたけれど、実際は文学史にのっとった作品を書いていたときと同じく惨敗だった。

ヒストリーでもなく、商業一辺倒でなく、芸術性と商業性の両方のニーズを満たした作品を書いていくことだ。そうした稀有な例になること。思えば19世紀の大作家と呼ばれる人たちは、芸術性と商業性の両方を満たしていた。19世紀売れていた商業作家とトルストイやドストエフスキーを比較することはできないだろう。やっぱりトルストイやドストエフスキーは格が違う。一世紀に一代の大作家だ。結局、そうした一世紀に一人だけ、人類史上まだ数人程度の大作家を目指すと想いながら小説を書いていかないことには、作家の道は開けないのではないか。

自分ひとりの喜びのために書いていると、賞を逃してもしょうがないかなと想ってしまう。自分なんかよりも賞を切実に取りたい人はいるだろうと考えてしまう。自分は賞なんて本当は欲しくないしなんてすねてみたり。自分ひとりの人生のために書いていては、賞を取るのはいつでもいいと思ってしまうものだ。逃げ道はいくらでも作ることができる。親のためとか、愛する人のためとか、家族のために小説を書いていれば、逃げることもないだろう。
posted by 野尻有希 at 23:05 | Comment(0) | TrackBack(1) | 新人賞論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする