2010年03月08日

悲しい中国旅行(4)ジャンボジェット機内のできごと

飛行機の座席は、別々のカウンターで受付をしたせいか、三人ばらばらとなった。私は飛行機の後ろの方の席となった。窓側二人がけ席の窓側で、通路側は空席である。エコノミークラスは座席が狭く窮屈だが、隣がいなければ余裕が生まれる。席についてすぐ私は備え付けの機内誌を読み始めた。

飛行機が羽田から離陸し軌道を安定させるまでの間、私はずっと窓の外の景色を眺めた。夜であれば、東京の夜景がきれいだろうが、今は午前八時過ぎである。都内の高層ビルがたくさん見えるものと思っていたが、羽田から飛び立つとすぐあたり一面海になった。続きを読む
タグ:中国旅行
posted by 野尻有希 at 23:22 | TrackBack(0) | 連載小説「悲しい中国旅行(仮)」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月07日

悲しい中国旅行(3)羽田空港にて

団体客用の受付で、パスポートと旅券を見せ、荷物を預かってもらった。中国行きの航空便の場合、飛行機内には、水分持込禁止とポスターが貼られている。ジュース、ライターの油、化粧水、歯磨きのチューブも持ち込み禁止だそうだ。

機内危険物持込検査で野菜ジュースの紙パック持込を断られた。捨てるかその場で飲んでくれと言われて、私はもったいないと思いながらも、野菜ジュースをごみ箱に捨てた。持込検査に戻ろうとしたら、オレンジジュースを飲み干している市丸教授の姿が目についた。続きを読む
タグ:中国旅行記
posted by 野尻有希 at 17:13 | TrackBack(0) | 連載小説「悲しい中国旅行(仮)」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月06日

小説「悲しい中国旅行」2:羽田空港へ

連載小説「悲しい中国旅行(仮)」、1ヶ月ぶりの連載再開です。




土曜日の朝、六時前に目を覚ました。急いで着替えて、外に出る。荷物は小型のリュックサックと、小型の軽量ボストンバッグ。二泊三日の海外旅行だ。着替えと飛行機の中で読む本くらいしか荷物がない。

地下鉄を乗り継いで、羽田空港に向かう。土曜日の早朝とあって、電車は混んでいないが、羽田空港に近づくと、大きな荷物を抱えた旅行客の姿が目につくようになった。続きを読む
タグ:中国旅行
posted by 野尻有希 at 19:28 | TrackBack(0) | 連載小説「悲しい中国旅行(仮)」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月07日

悲しい中国旅行:はじまり



この文章は、今年の一月、三連休をとって行ってきた中国上海の旅行記である。私個人の旅行記である以上に、現代中国文化に対する解釈、文化人類学的対話の記録ともなるだろう。

そもそも私は旅行をしない。海外に行ったのは、シカゴ周辺とバンコクの二か所のみ。日本国内でも旅行をしない。現地に行かなくても、家にこもって、読書するだけで事足りると思っていた。最近は、自分が海外旅行したような気分にさせてくれる旅番組も方法されている。インターネットをつなげれば、海外の情報が瞬時に入手できる。文字情報だけではない。画像や動画で、現地の情報を瞬時に入手できる。これほど多くの人々の手に情報創作技術が行き渡った時代に、外国の小説をわざわざ読む必要などないし、旅行に行く必要までないように思えていた。続きを読む
posted by 野尻有希 at 20:30 | TrackBack(0) | 連載小説「悲しい中国旅行(仮)」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする