2011年02月12日

ブログ連載小説『乳精卵』は『超現実的名母乳戦争の予感』とタイトルを改めて電子出版しました

長らく連載してきたブログ連載小説『乳精卵』は、『超現実的名母乳戦争の予感』とタイトルを改めて電子出版しました。電子書籍サイトパブーにて、無料で閲覧、ダウンロード可能です。



電子書籍の「第三章 2010年目の魔の山」9ページまでが、既にブログで発表している分です。第三章10ページ目以降は、初発表分となります。ブログでの連載は前回(2月6日掲載分)で終了としますので、続きから読みたい方は、電子書籍版第三章の10ページ目からお読み下さい。続きを読む
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2011年02月06日

ブログ小説「乳精卵」(25)3Dゲームの中の魚

1月16日掲載分の続きです。

(25)
「本当にあなたの周りに、物質が存在しているのかしら?」
 彼女が魚を釣り上げた。僕はまだ一匹も釣っていない。えさに魚が食いついた感覚もない。
「あなたが物質だと思っているのは、あなたの脳がそう判断したからでしょう。ほら、この魚を掴んでみて」
 僕はコントローラーを操作して、彼女が釣った魚を掴んでみた。
「どう? 物理的な魚を掴んだと感じられた?」
 3D立体画面で、プレーヤーキャラは、素手で魚を掴んでいる。魚は尾を小刻みに振っている。震える魚がテレビから飛び跳ねて、こっちの現実に落ちてきそうだ。続きを読む
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2011年01月16日

ブログ小説「乳精卵」(24)今の日本の現実を設計したのは誰なのか

(24)

僕にとっての現実は、買った覚えもない大型テレビのあるこの部屋だとしたら、僕は現実を受け入れて、人生設計を組み立て直す必要がある。

「どうする? あなたの現実に、私たちの世界で起きるはずの戦争が起きていないか、確認してみる?」

 もし僕が今いる部屋が、仮想現実だとしたら、僕はこの世界の平和を守るために、戦う意義を見出すことはできない。しかし、僕にとっての現実がこの現実しかないのなら、僕はこの世界の平和というか安定した秩序を守るために、進んで戦うだろうか。続きを読む
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2011年01月12日

ブログ小説「乳精卵」(23)現実、仮想現実、拡張現実

12月27日以来の連載です。

(23)
「プログラムのバグによって、ここで起きるはずだった戦争が、僕らの現実で起きてもおかしくない」
「起こり得る。ただし、あくまでも拡張現実だから、怪我人や死人が出ることはないでしょう。私たちは、あなたたちの世界に、映像や幻覚としてしか侵入できない。もちろん、私たちを見た人が、私たちのことを現実に存在するものだと信じて、暴力的行動を起こす場合はある。けれど私たちは、あなたたち別の現実を生きる人間に、物理的危害を加えることはできない」続きを読む
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2010年12月27日

ブログ小説「乳精卵」(22)牛と鳥と人間が戦争する世界

12月15日以来の掲載です。

ブログ小説「乳精卵」(22)

彼女は、牛と鳥が戦争ゲームの敵だという。僕たちが生きている現実の世界において、牛と鳥は、人間によって数百年前に家畜化されている。人間と、牛と鳥の連合軍が戦争する未来は、僕らの世界に訪れるとは思えない。しかし、ここは、僕らの住む世界ではないから、人間に牛と鳥が戦争をしかける可能性はある。僕らの世界とこのゲーム世界は、異なる時空に属している。続きを読む
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2010年12月15日

ブログ小説「乳精卵」(21)フィクションの中で人を殺すこと

11月30日以来半月ぶりの連載です。

ブログ小説「乳精卵(にゅうせいらん)」

(21)

「ゲームのプレーヤーであるあなたは、私と違って、ゲームの外の世界に生命を残してきているでしょ。あなたがここで何回死んでも、あなたは何度でも復活することができる」
「君はこの世界に生命があるから、この世界で死んだら、二度と復活できない」
「復活は可能。けれど、記憶がなくなる。私が死んだら、プレーヤーであるあなたとこうして話したという記憶もなくなる。あなたは違う。あなたがこちらの世界で死んでも、あなたの記憶はなくならない」
続きを読む
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2010年11月30日

ブログ小説:「乳精卵」(20)ゲームキャラの女性とゲームの中で話し込む

11月20日以来10日ぶりの掲載です「乳精卵」。さて、最初は原稿用紙50枚の予定で書いていたこの小説ですが、締め切り2週間前に100枚書こうと思い、1週間前に200枚書いちゃおうと思いました。今回掲載のあたりは、当初の予定では存在しない場面です。もう書きたいことは最初の50枚でだいたい書き終わっているので、ひたすらリアルとバーチャルリアルとARの問題について、思考を敷衍させてます。これからどんどんわけのわからない話になっていきます。作者の僕自身登場人物の女性の話についていくのがやっとな感じでした(笑)。では、連載20回目をどうぞ。

(20)
「大元のプログラムから、ある程度の自由は与えられている。あなたたちだってそうでしょう。自分で考えて、意思決定できるよう、あなたたちはプログラムされている」
「僕たちは、神様にプログラムされている?」続きを読む
posted by 野尻有希 at 23:55 | TrackBack(0) | 小説「乳精卵」(完結) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月20日

ブログ小説「乳精卵」(19)3D体感ゲームを見知らぬ女性とプレイ

(19)

「一緒に遊ばない?」

彼女が僕にコントローラーを差し出す。僕はコントローラーを受け取る。彼女が3Dメガネを外して、僕に差し出した。彼女はショートカットで、目鼻立ちのはっきりした顔をしている。やはり、僕は彼女の顔を知らない。

彼女は僕の友人のように振舞っている。僕が彼女の記憶を喪失したのか、彼女が友人を演じているのかは、まだ決定不能だ。まあいい。僕も演技すればいいだけの話だ。知人でない人が僕のことを友人であるかのように扱ってくれているなら、僕も同様の歓待を返すまでだ。続きを読む
posted by 野尻有希 at 12:41 | TrackBack(0) | 小説「乳精卵」(完結) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月11日

ブログ小説「乳精卵」(18)3Dテレビで3Dゲームをしている女性が部屋にいました

(18)
第三章 二〇一〇年目の魔の山

自動車のエンジン音が聞こえる。僕は瞳を開ける。部屋のローソファーに、見知らぬ女性が座っている。

彼女は3Dメガネをかけて、ゲーム機のコントローラーを持って、ドライビングシュミレーションゲームをプレイしていた。

ここは僕の部屋のはずだ。僕の部屋には、二十六インチのアクオスの液晶テレビがあるはずなのに、今彼女がゲームをしているテレビは二十六インチより大きい。四十インチ程度はありそうだ。

しかも裸眼で見える画面はぶれている。3Dメガネで覗いた時、初めて立体視できる映像信号をテレビから出力しているのだろう。続きを読む
posted by 野尻有希 at 05:38 | TrackBack(0) | 小説「乳精卵」(完結) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月08日

ブログ小説「乳精卵」(17)襞と反復

(17)
第二章 襞と反復

僕の体は生温かい襞に包まれている。襞が何度も僕の体を愛撫する。襞の先端は細かく枝分かれしており、体を撫でられると、くすぐったい。

僕は両手で両足を抱えて体を丸めている。僕の目は閉じられている。

襞が僕の体を押し出し始める。

僕はいつまでもこの襞の中にとどまっていたい。僕は襞に足と手を食い込ませる。僕が踏ん張れば踏ん張るほど、襞の押し出す力が強くなる。

僕は湿った洞窟を転がる。僕は泣き叫ぶ。嫌だ。外に出たくはない。いつまでも襞の中に包まれて、愛撫されていたい。続きを読む
posted by 野尻有希 at 23:03 | TrackBack(0) | 小説「乳精卵」(完結) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月06日

ブログ小説「乳精卵」(16)ゲーム的リアリズムの喪失

(16)
自動車がこちらに向かってくる。運転席にいるメガネをかけた男と目が合う。彼は無表情で、僕らのいる方にスピードをあげて突っ込んでくる。

自動車の車体が僕の体に当たった。僕は目をつむった。衝突の勢いで、僕の体が宙に浮く。僕の下半身にしがみついていた、女性の体が離れた。

車はそんなにスピードを出していなかったが、僕らは轢かれたのだ。このまま行けば、寝っ転がってキスしている向こうの二人も、自動車に轢かれるだろう。続きを読む
posted by 野尻有希 at 00:58 | TrackBack(0) | 小説「乳精卵」(完結) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月01日

ブログ小説「乳精卵」(15)横断歩道を渡ろうとしたら女性とぶつかってキス

(15)
ここのコンビ二で牛乳だけ買って帰るのも気が引けた。

僕は朝食を買いに来たのだ。朝食を食べた後、家に帰って、ツイッターやブログで状況を報告する必要がある。警察にも連絡した方がいいし、近所の人全員に非常事態の発生を知らせてまわった方がいいだろう。

テロ行為でもなく変態行為でもないもの、あるいはテロ行為であり同時に変態行為でもあるもの、つまり、変態的テロ行為が続いている間は、外を歩き回らずに、部屋の中でじっとしていた方が得策かもしれない。けれど、僕はまず食事を欲していた。
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posted by 野尻有希 at 00:35 | TrackBack(0) | 小説「乳精卵」(完結) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月24日

ブログ小説「乳精卵」(14)コンビ二の冷凍庫の中で眠る少女

(14)
裸の女の子が、冷凍庫の中に仰向けで寝ていた。体は白い乳液の中に沈んでおり、顔や腕の一部分のみ乳液の表面に浮いている。全身は乳液の下に透けて見えた。女の子の瞳は閉じられている。

昨日まで、冷凍庫は細いパイプでアイスの種類毎に区分けされていた。区分けのパイプは取り払われていた。

あの乳液、もしかして牛乳だろうか? それとも人間の母乳? あるいは豆乳?続きを読む
posted by 野尻有希 at 12:02 | TrackBack(0) | 小説「乳精卵」(完結) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月23日

ブログ小説「乳精卵」(13)コンビ二に入ったら商品棚にお金しかおいてなくて困った

(13)
サンドイッチ、サラダ、スープ、スープ、パスタ、おつまみ、果物、スイーツのおいてあった棚にも、商品はおいていない。

昨夜まで商品がおかれていた場所には、商品代金に等しい硬貨が重ねられている。パン、カップめん、スナック菓子、栄養ドリンク、文具、乾電池の棚にも、日本円の硬貨ばかり並べられている。下着、ネクタイ、ワイシャツなどがおかれていた衣料品棚棚には、若干だが千円札もおかれていた。

商品は、レジカウンターと、レジ奥にある店員専用の調理室に詰め込まれている。商品の山に隠れて見えないが、レジの中には、お金なんて残っていないだろう。続きを読む
posted by 野尻有希 at 14:54 | TrackBack(0) | 小説「乳精卵」(完結) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月20日

ブログ小説「乳精卵」(12)コンビ二の商品が全部お金に変わっていました

(12)
僕は道路を渡り、百円ショップの向かいにあるコンビ二に入った。ここでいつもみたく、割りそばかパンと牛乳を買って、朝食にする予定だった。

入り口近くのレジカウンターに、商品が天井近くまで積まれていた。店員が注文されたソフトクリームやスイーツを作る奥のスペースまで、商品で敷き詰められている。店員の姿は見えない。

昨日の夜まで商品があった棚には、硬貨やお札がディスプレイされている。向かいの百円ショップと同じだ。商品は料金分の日本円に代わり、レジカウンターに商品が押し込められている。

雑誌棚に雑誌はない。ジャンプ、サンデー、マガジン、ヤンマガ、ヤンジャン、モーニング、イブニング、マンガ雑誌はみんな硬貨に変わった。続きを読む
posted by 野尻有希 at 00:31 | TrackBack(0) | 小説「乳精卵」(完結) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月19日

ブログ小説「乳精卵」(11)100円ショップに行ったら商品が一つも売られていませんでした

(11)
百円ショップの店の棚に、百円玉が並べられている。

どの棚にも百円玉しかおかれていない。

店の一番道路側、お菓子が何個も並んでいた箇所にも、百円玉が敷き詰められている。傘や雨具が置かれていた場所にも百円玉が並んでいるし、健康器具、台所用品、服飾雑貨、全て百円玉に変わっていた。

どうやら、商品一個に対して百円硬貨一枚というルールで、商品が百円玉に転換したようだ。続きを読む
posted by 野尻有希 at 00:10 | TrackBack(0) | 小説「乳精卵」(完結) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月18日

ブログ小説:「乳精卵」(10)母乳テロじゃなくて、母乳エンターテインメントでしょうか

(10)
水道から白や黄色の液体が出てきたことも、空から母乳が雨となって降っていることも、僕の錯覚だろうか。

水道からはいつも通り、無色透明の殺菌された水道水が出ており、空からは酸性気味の水が降っている。僕はそれらの液体を、H2Oとは別の化学物質だと見間違えているだけなのだろうか。

僕には目覚めている意識があるが、今僕は、眠っているのかもしれない。今僕が経験していることが、眠りながら無意識に体験している夢ならば、母乳テロが起きるのも不思議ではない。続きを読む
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2010年10月12日

ブログ小説「乳精卵」(9)母乳テロ説を検証してみた

目を凝らして見る。降っている小雨も白かった。

初秋だし、いくら異常気象でも、みぞれが降ってくるわけがない。白い雨は液体のみで構成されている。白いのだから、水分子以外の、何らかの化学物質が混ざっている。

水たまりの近くに寄ってみた。水は白く濁っている。雨水の中に牛乳でも混ぜたみたいだ。

何だこれは? 一体何が降っているんだ?

僕の部屋の水道を乳液化したり、どろどろの黄色い液体にした組織が、白い雨を降らせているのだろうか? 北朝鮮あたりのテロリストの仕業だろうか。続きを読む
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2010年10月09日

ブログ小説「乳精卵」(8)水道からどろっとした黄色い液体が出てきた

(8)
僕はリビングに戻り、ノートパソコンの前に座った。

先程携帯電話で撮影した写真をパソコンのメールアドレスに送る。携帯電話からメールしたら、すぐにパソコンの受信トレイに新着メールが届いた。

新着メールをクリックする。黄色い液体が入ったコップの写真が、液晶画面にあらわれた。

やっぱり画像で見ると、オレンジジュースに見えてしまう。コップの中に入っている黄色い液体は、水道から出てきたものであり、どろっとして卵みたいだったと伝えるためには、言葉の説明が必要だった。続きを読む
posted by 野尻有希 at 20:53 | TrackBack(0) | 小説「乳精卵」(完結) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月07日

ブログ小説「乳精卵」(7)水道から卵によく似た黄色い液体が出てきました。

(7)

僕は水道のレバーをゆっくりと上げた。

水道から、白い乳液は出てこなかった。無色透明な水道水も出てこなかった。

水道からは、黄色のどろどろした液体が出てきた。

先程水道から出てきた白色の乳液は、牛乳にそっくりだった。勢いよく出ていたし、水っぽかった。

今出てきているのは、どろどろの粘っこい液体だ。続きを読む
posted by 野尻有希 at 23:32 | TrackBack(0) | 小説「乳精卵」(完結) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする